体育会









それは汗と涙と友情と









小さな恋の









訪れるもの



































































秋 恋



























































9月某日。天候、晴れ。今日はみんなが待ちに待った体育会の日。

グラウンドでは、紅白に別れた生徒達が必死になって競技を行っていた。

そして、この私。もその中に一員として頑張っているしだいであります。

「とったぁ!!」

『ここで試合終了ー!勝ったのは赤組!選手が見事大将のハチマキを奪い取りましたー!!』

アナウンスに合わせて、会場は一気に盛り上がる。私は少し照れながら応援席に取ったハチマキを掲げて勝ったことを報告した。

「あー疲れたぁ!」

「お疲れ、。さすがは運動部。体力あるわね」

「当然よ!この調子で、バンバン点稼いじゃうから♪」

「期待してるわよ、赤組のキーパーソンさん」

友達のに背中を叩かれ、気合を入れられる。よっし!なんとしてでも優勝してやろうじゃないの。

私とが応援席に戻ろうとしたとき、後ろから声をかけられ一緒に振り返る。が、その人物に私は絶句することになってしまった。



「さ、さ、さ・・・真田くん!?」

「お疲れ。すごかったな、さっきの」

「え、あ、そ、そんなことない、よ。真田くんは、次何に出るの?」

「俺?100m走だよ」

「そうなん、だ。頑張ってね!応援してるから!」

「おう、サンキュ。じゃあまたな」


軽く手をあげてスタスタとその場を後にする真田くんの後姿を見つめながら、私は真っ赤になって座り込む。
「き、緊張したぁ////」

「よかったじゃない、。話しかけられてもらっちゃって」

からかったように笑うを少し睨みながら、私はさっきの会話を思い出してまた赤くなる。

同じクラスの真田一馬くん。この学校に入ってからずっと片想いし続けてる人。あんまり女子とは話さない性格だけど、私とは最近よく話してくれるようになった。

次100mに出るんだ。しっかり見とかなきゃ!

すぐに立ち上がり、の手を引いて私たちは応援席へ戻った。そして、最前列で応援するため一番良い位置をしっかりキープする。

「ここなら良く見えるわv」

「でもその代わりしっかり応援しないと応援賞もってかれるわよ」

ま、まぁそうだけど・・・。とにかく私は真田君が見れればそれで十分なのよね。

『さぁ続いては男子100m走!選手の入場です!』

軽快な音楽と共に選手が駆け足で入ってくる。その一番後ろの列に緊張気味の真田君を見つけた。

その真剣な横顔もかっこいい・・・。っと悦ってる場合じゃなかった。応援応援!

ピストルの音で第1レース目がスタートする。それでも私の目は真田君に釘付け。もはや応援そっちのけで見つめ続けていた。

そしてついに、最後のレースが始まる。真田君は手前から2つ目のレーンだ。どうしよう、何か言わないと。応援したいのに、言葉が出ない・・・!

瞬間、少し強めに背中を叩かれる。私はハッとして大声を出した。

「真田君!頑張って!!」

その声と同時に、ピストルがなる。走者は一斉に走り出した。

50m付近で次第にばらつきが出てきた。2人が圧倒的に飛び出している。その内の一人に真田君がいた。

プロ顔負けのデッドヒート。抜いて抜かれてまた抜いて。ものすごく激しい戦いだった。

「真田くん!!!!」

先にゴールテープを破ったのは真田君だった。その瞬間、応援席が沸き返る。

私は安堵の息を漏らすと同時に、と手を取り合って喜び合った。

「よかったわね、ギリギリ伝えられて」

「ホント、危なかったよ!ありがとね、

さっきが背中を叩いてくれなかったら、きっと何も言わずにレースが始まってしまっていただろう。

「あ、そういえば・・・」

「ん?どうしたの?」

「さっき、レースが始まる直前にこっち見た気がしたの」

「ホント?すごいじゃない!」

「き、気のせいかもしれないけどね」

真田くんの名前を読んだとき、一瞬だけど目があったような気がした。それで、笑ったような気がした。

あ〜!思い出しただけでも恥ずかしい!しかも嬉しい!顔が赤くなっちゃうよ・・・。

それにしても、真田君すごいなぁ。もう一人の人は確か陸上部だった気がする。その人に勝っちゃうんだもん。さすがだよね、やっぱり。

走ってるときの姿もかっこよくて、見惚れちゃって。いつまででも見ていたかった。

、おーい!!」

「へっ!あ、なに?」

「へって・・・・;次の競技始まるよ」

「そうだった!行かなくちゃ!」

つい真田君のこと考えてたら、入場ギリギリになっちゃったよ。次の競技はタイヤ取り。紅白代表女子が互いにタイヤを奪い合って、最終的に数が多い組が勝ち。

でもこの競技、毎年けが人が出ることで有名なんだよね。ちょっと心配。だけど、それをに話したらあんたは大丈夫だって笑って言われたけど。(切ない・・・)

『選手の入場です!』

アナウンスと共に、グラウンドへ走りだす。きっと真田君も見てくれてるはず。ここはしっかり頑張っていいとこ見せないと!

スタート位置について、軍手をはめる。緊張でちょっとはめるのに手間取ったけど、大丈夫。なんとかやれそうだった。

「よーい・・・」

威勢の良いピストルと同時に並んでいるタイヤへと突撃していった。私のつかんだタイヤは私vs相手2人。もとから体力には自信があったけど、さすがに2人はきついものがあった。

助けを呼ぶにも全員がタイヤにしがみついているため、こっちにくるのには時間がかかりそうだった。

タイヤごと引っ張られていくのを必死で食い止めながら、なんとか対等に渡り合っている。

「もう観念しなよ。2対1じゃ勝ち目ないでしょ?」

「ぜーったいヤダ!!」

悪いけど、こう見えても負けず嫌いなのよ。それに真田君が見てるんだもん、絶対に降参なんかしない!

あまりにしつこい私にだんだんイライラしてきたのか、相手もかなり怒っているように見える。何度か罵声を浴びせられたけど、それでも私はタイヤを離そうとはしなかった。

「そんなに欲しいならお望みどおりくれてやるよ!!」

「え!?」

2人は突然タイヤを押してきた。自分の引いていた力に加え、2人分の力が加わり、あっけなく倒れた。

そして・・・。

「危ない!!!」

誰かの声と一緒に頭に強い痛みが走る。青すぎる空を見ながら、だんだんと視界が狭くなっていった。

!!」

誰の声だろう、すっごく聞き心地のいい声。情けないなぁ、せっかく頑張ったのに。真田君も、呆れちゃっただろうな・・・。

ホント、悔しい―――












































































「あ、れ・・・?」

目を開けるとそこにあるのは空じゃなく、校舎の天井。あ、保健室・・・かな?

「大丈夫か?

「あ、はい全然大丈夫です・・・・って真田君!??!!?!?!」

なんで真田君がここに!?体育会は?競技は?どうなってんの!?

急に飛び起きたからまだ頭が痛かったけど、そんなことどうでもいいくらい私は真田君を凝視していた。対する真田君はさも当たり前かのように平然としている。

「な、なんで真田君がここに?」

「俺が運んできたから、起きるまで見てようかと思って」

「真田君が・・・・私を・・・はこん、だ・・・・?」

終わった。何もかも、そう全て。真田君が私を運んだなんて、恥ずかしすぎる。あぁ、神よ。私が何をしたのですか・・・?

?大丈夫か?」

「あ、大丈夫だよ。ゴメンね、迷惑かけちゃって」

「気にすんなよ。たいしたことじゃねぇから」

どこまで優しいんだこの人は!本気で惚れましたよ。いや、前から本気なんだけどね。さらにってこと。

真田君は読んでいた本(雑誌?)を置いて、私に向き直る。その真剣な目に思わず息を呑んだ。

、あのさ・・・。ありがとな、100mん時」

「え?100mって?」

「ほら、スタートのとき応援してくれただろ?俺、すっげー嬉しかった、から///」

気付いてくれてた?真田君が?それじゃあ、目が合って笑ったのも気のせいじゃなかった・・・!

突然、私の頬に暖かい筋が流れる。自分でもびっくりして、なんとか止めようとしたけど、どうしても止まらなかった。

!?どうした!?」

「ご、ごめん・・・!嬉しく、て!!」

どうしようもなく嬉しかった。真田くんが気付いてくれたこと、心配してくれたこと、ここまで運んできてくれたこと、ずっとついていてくれたこと。十分すぎるほど幸せだった。

刹那、私の身体にぬくもりを感じる。それが抱きしめられていると理解するのには少し時間がかかった。

「さ、真田・・・くん!?」

「お、俺さ。が応援してくれたから、勝てたんだと思うんだ」

「え・・・」

「ずっとだけ見てた。だからが倒れたとき頭ん中真っ白になって・・・。でも無事でよかった」

何が起きたのかよく分からなくて唖然としていると、真田君は優しく私を離してまた目を見つめる。

その顔は真剣そのもので、ほんのり頬が赤かった。

「俺、好きだ。のこと」

冗談なんかじゃないってことくらい、わかってる。それでも信じられなかった。あの真田君に告白されるなんて、夢にも思ってなかったから。

でも、それが本当だって理解したとき。私の目からはまた涙があふれてきた。

「ありがとう、真田君・・・・」

嬉しくて、嬉しくて、どうしようもなくて。それでもちゃんと伝えないと。この気持ちを。

「私も、大好きです」

お互いに微笑みあったあと、私たちは静かにキスをした。

風に揺られてなびくカーテンがとても綺麗に見えた。





















「それにしてもすごかったわよ。が倒れたときの真田君の慌てっぷり」

「そんなに慌ててたの?」

「だって試合中だっていうのに、のところまで突っ切っていって、お姫様抱っこよ?」

「お、お姫様・・・抱っこ////」

「その所為で真田ファンクラブの子たちは卒倒もんよ」

「もしかして・・・・狙われたり?」

「十分にありえるわね」

(頑張ろう・・・;)









リクエスト企画に参加してくださったナミ様にささげます。一馬夢です。遅くなってしまい、すみません。

甘くできたんでしょうか?ってか本当に駄文ですね;もっと精進します。頑張ります、はい。

指摘がありましたらどうぞ言ってやってください。

花月