いつも一緒で











いつも同じで











何度間違えられ











何度比べられたのか











とても愛しくて












とても嫌いな













私の妹



































































































あの子
































































































双子。それは、まったく同じ日に同じ人のお腹から生まれた、いわば分身のような存在。

しかも一卵性双生児となれば、見た目も考え方もほぼ同じ。まるで私がもう一人いるみたい。

それがとても嬉しくて、でも時々とても嫌で。

いつも並べられて、いつも比べられて、いつもあの子に間違えられる。

一緒にしないで。私は私。あの子はあの子。私だけを、見てよ。

そうして今まで生きてきた。隣にはいつもあの子がいて、一緒にいるのが当たり前みたいな存在になって。

姉妹よりも強い絆。それが邪魔になったのは、今に始まったことじゃない。

もう慣れたなんて言っているけど、それは嘘。いつまでたっても、慣れないもんは慣れない。

ほら、またあの子は私と同じ笑顔で笑ってる。

大好きで、大嫌いな私の妹・・・



「お姉ちゃん?」



教室でボーっとしているところに、がぴょこんと顔をのぞかせ、我に返る。

そういえば、もう授業終わってたんだ。が友達としゃべり終わるの待ってて、そのままボーっとしてた。

帰りはいつも一緒に帰ることがなぜか暗黙のルールになっている。一度だけ先に帰ったら、家で散々泣かれたから。

顔は一緒でも、性格はまるで違う。は女の子らしい。泣き虫で甘えんぼで、男からも女からも好かれるタイプ。

対する私は正反対。しっかりしていると自分でも思うし、まとめ役というか、落ち着いてるというか、そんな感じ。

そんな二人が双子だなんて、顔見なかったら絶対わからないんだろうな。

さっさと鞄に荷物をつめて、と一緒に教室を出る。

その瞬間、前の扉がガラガラと開いた。



「お、姉妹か。」



功刀、一。私たちのクラスメート。

サッカー部所属。たしか、九州選抜にも受かったすごい人。しかもかっこいいときてる。

女子に相当人気な人。



「カズくん!どうしたの?」



すぐに話しかけたのは、私じゃなくての方。

こういうとき、男子と話しなれてるはすぐに対応できるから羨ましい。



「あぁ、忘れもんや。すぐ帰るけん」

「そっかv私たちも今帰りなんだぁ〜途中まで一緒にいこうよ」

「ちょ、!」



なんてこと言い出すんだこの子は。功刀くんと一緒に帰る?そんなことできるわけないじゃない!



「あぁ、別によかよ。ちょっと待っとき」



あっさり功刀くんはOKを出して、自分の机へ向かう。

冗談じゃない。功刀くんと帰ってるところをファンの連中に見られたらあとで呼び出し食らうのなんて目に見えてる。

私はそんなことに巻き込まれるの、ゴメンだから。



「私は先に帰るね、

「えー!なんで!」

「それじゃ、またね」



短くそう言い放って、私は急ぎ足で教室を後にした。

と二人で帰ったほうが、功刀くんもきっと喜ぶ。それにも・・・。

どんどん歩く速度は速まって、気付けば私は学校傍の公園まで来ていた。

これは・・・逃げてるってことになるんだろうか。

双子、しかも一卵性双生児。気持ちが繋がることなんてしょっちゅうだ。

昔からずっと同じ趣味をしてた。服だって、なんだって全部一緒。

好きな人が重なることだって、これが始めてじゃない。



「なんで双子なんだろう・・・・」



幾度となく持った疑問を口にしてみる。

もしこれが姉妹だったら、こんな思いしなくて済んだのかもしれない。

私もも他の人を好きになって、別々の恋愛をして。

姉妹で泥沼なんて、一番ダメなシュチュエーションでしょ?

公園のベンチに座って、私はひとり空を見上げた。

なんでいつも一緒なんだろう。なんでいつも身間違えられるんだろう。

それならいっそ、中身も全部一緒ならよかったのに。

みたいに社交的な性格だったら、きっと功刀くんも私を選んでくれたはず。

こんな性格、大嫌いなのに。どうして、神様は私をこんな風にしてしまったの?

もう、疲れちゃったよ。



「疲れたなぁ・・・」

「なにがや?」



突然の降りかかってきた声に驚いて、すぐ目線を前に戻す。

そこには、さっき別れたはずの功刀くんが立っていた。



「く、く、功刀くん!?」

「急に走って帰るけん、ちかっぱ驚いたとよ」

は?一緒じゃないの?」

が自分はいいから、を追いかけてくれって送り出してくれたばい」



・・・・。あんた、どうして?

功刀くんのこと、好きなんでしょ?だったらどうしてこんなことするのよ。



のこつ、心配しとったとよ」

「私の、こと?」

「なぁ、

功刀くんは私の目をじっと見つめて、そのまま静かに口を開いた。

は全部知っとった。が自分に対してどう思っちょるかも、全部」

「え・・・」

「もちろん、俺に対するの気持ちも」

「だって、功刀くんはのことが・・・・!!」



もうわけがわからなくなって、大きな声を出した瞬間。私のクチビルにやわらかいものが触れた。

キス、されたの・・?私が?

なんで・・・?



「どういうこと?」

「まだわからんのか」

「だって功刀くんはのことが好きなんでしょ?」

「違う。俺は前からのこつを好いとったばい」

「私の、こと・・・?」

「お前ら、顔はそっくりやけど、性格は全然違うけんな。一緒じゃなかとよ」








、やろ?」








あ・・・・。

今まで一番欲してきた言葉。

今で一番聞きたかった言葉。

それを功刀くんが言ってくれた。

ポタリ、と暖かい雫が足元に落ちる。

嬉しいと人は涙を流すんだ。はじめて知ったよ。

ありがとう、功刀くん。






大好きだよ・・。































一度は書きたかった双子ネタ!でも難しくて玉砕・・・;;

花月