俺の好きな時間は二つある











一つはサッカーやってるとき











もう一つは











ほんの小さな幸せが見つかる











なんでもないこんな日常
































































大事な時間































































昼休みの屋上。今日もいつものように、俺達はここでお弁当を広げている。

隣には大好きな彼女の。1年前から付き合っている、俺の大切な人。

はお弁当の時間が一番好きらしく、毎日楽しそうに食べている。

そんなの顔を見られるだけで、俺は充分すぎるほど幸せだ。だから、俺も昼休みが一番好き。

「ねぇ、一馬」

「ん?」

「なんで一馬はたまごサンドが好きなの?」

「なんでって・・・美味いからだろ」

可愛い顔を少しかしげて俺に疑問を投げかける。

なんでたまごサンドが好きなのかなんて聞かれたのは、これが初めてだった。

だって美味いじゃん。ゆでた卵にマヨネーズをあえるって考えもすごいけど、それをパンにはさむっていう発想もすごいと思う。

って、俺はなに熱く語ってんだ。

まぁいいや。とにかく、俺はたまごサンドが好きなんだよ。

でも、にはそれが全く理解できていないらしい。そこが、俺達の唯一意見が分かれるところ。

はサッカーも好きだし、書道の心得もあるから、これでもかってほど話が合うんだけど、食べ物の趣味だけはどうしても合わなかった。

の嫌いなもの。それはたまごサンドとリンゴジュース。

どっちも俺の好物じゃねーか・・・;

「だいたい、たまご食べれる人の気持ちがよくわかんないんだよね。だって、それもしかしたらひよこかもしれないんだよ?」

「いや、ひよこになるたまごと食べられるたまごは違うんだって」

「え!?だって同じ鶏から生まれてくるじゃん!」

「でも違うんだよ。大体、どっからそういうグロイ発想が出てくるんだ?」

「黄色いし、なんか雛っぽいから」

「あのなぁ;」

ときどきわけのわからないことを言うのも、まぁ慣れた。面白いし、飽きないからそれはそれでいいんだけど。

「じゃあ、一馬はなんでリンゴジュースが好きなの?」

「リンゴって健康にいいんだよ」

「・・・・・みのも○た?」

「違う!!」

俺そんなに午後から思い切って電話してねぇから。真昼の専業主婦かよ!

昔誰だったか、風邪引いたときにリンゴジュース飲ませてくれて、それで風邪が治ったって思い込んでるから、今でもリンゴジュースは好きだった。

さっぱりしてて、後味もすっきりしてるし。

はなんでリンゴジュース嫌いなんだ?普通のリンゴは食べられるだろ」

「素材のまんまが一番いいんだよ。一馬はリンゴジュースの気持ち考えたことある?あのシャキシャキ感が売りなのに、それをのど越しよく改良させられちゃったんだよ!?」

「そんなことまで考える必要なくないか?」

「いーや、あるね。私は、工夫っていう言葉がなにより嫌いだから」

らしいな」

つまりは単純。一直線。今どき珍しいタイプの女の子ってことだ。

ただ、すこーしだけ方向性が違うだけで。

「まぁいいだろ。ほら、早く食べないと昼休み終わっちまう」

「あ!そうだった!今日午後の数学の課題やるつもりだったのに!!」

そう言って、ものすごい勢いで食べ始める

ノート見せてやろうか?とたずねれば、満面の笑みでしきりに頷いていた。

そろそろ俺も食べよう。今日もたまごサンドは入ってるけど、一味違う。なんたって、昨日ばあちゃん家から送られてきた新鮮たまごだからな。

鮮度が違うぜ、鮮度が。

そういえば、の弁当って確か自分で作ってたよな。毎日凝ったもん持ってくるけど、今日はどんなのが・・・。

「今日時間なくてさー。昨日の残りなんだよね;」

「・・・・・・・・・・なぁ、それってもしかして」

「え?酢豚だけど?」

いや、それは見ればわかるんだけど、俺が言いたいのはなんで酢豚にイチゴが入ってるんだってこと。

工夫ってことばが一番嫌いなんじゃなかったのか!?

「なぁ、リンゴジュースは邪道で酢豚にイチゴは邪道じゃないのか?」

「当たり前じゃない。私に言わせれば、酢豚にイチゴは当然のことなの。むしろ、パイナップル入れることが邪道だわ」

・・・・違う。は何かが間違ってるんだ。

の仲には一年付き合ってても、まだ俺の知らない未知の世界が広がっていた。

別に人の食趣味をどうこう言うつもりはないけど、さすがにさっきと言ってることが違いすぎる。

だって、工夫が嫌いなんだろ?じゃあ、酢豚には何も入れなくていいじゃねぇか。

「なぁに浮かない顔してんの。ホラ、酢豚あげるから」

「・・・気持ちだけで充分だから」

「ものは試しよ。さ、一口どーぞv」

確かに食わず嫌いはよくない。しかもの頼みとあっては断る術を知らないわけで。

食べてみた。パクっと一口で。

「どう?」

「・・・・・・美味い」

「でしょ♪」

世の中って不思議だ。なんでこんな組み合わせが美味い!?

「なぁ、

「なに?」

「世の中ってわからないことだらけなんだな」

「なにその歳で悟っちゃってんの;」

変な一馬ー!とまたお弁当に手をつける。

さっきまでよくわからなかったけど、の笑顔を見てたらどうでもよくなった。

この笑顔がある限り、俺の周りに起こる全ての出来事はどうでもいいことに分類されると思う。

俺の基準はきっと常識とかじゃなくて、なんだ。

だってホラ、彼女のことがこんなにも愛しい。

「あ、一馬!もう昼休み終わるって!早くノート見してよ〜」

「わかったから、もうちょい待てって。まだ食い終わってねぇ」

「かじゅまのご飯より私の授業!」

「それがノート見せてもらう奴への態度か!?・・・ってかじゅまって言うな!」

「アハハー!一馬、ツッコミの腕上げたね」

「お笑い芸人じゃねぇんだから、そんなこと言われても嬉しくねぇよ」

「ツッコミは大事なんだよ?世の中、これツッコミと見つけたり」

「わけわかんねー」

「まだまだ青いのぉ〜」

「ご隠居さまかよ!?」

「鈴木くーん!かじゅまに座布団一枚☆」

「山田くんだぁ!!!だからかじゅまって言うなって!」

「アハハハハハー!最高に面白い!ほら、早く行こうってば!」

「あ、おい!!!」



お弁当を持って屋上の扉へ走るを追いかけて、俺もすぐに立ち上がった。



そして、彼女の手をやっと捕まえてその場を後にする。



コレが、俺達の日常。



こうやって、バカな話しして笑いあう毎日。



でも、それが一番







俺の大好きな時間







最近のドリームはみんな意味がわかりません;

花月