自分たちで作り











自分たちで考え










自分たちで演奏する











それはすばらしい











最高の手作り




























































































ガラクタ交響曲-定期演奏会-
















































































































年に一度のフェスティバル。一年で一番部活をアピールできる、絶好の機会。

「今年も定期演奏会の季節がやってきました」

渋沢部長がファイルを見ながら、そう告げた。そう、定期演奏会。私が一番大好きな行事。

もちろん、アンサンブルコンテストやコンクールやソロコンテストやその他普通の行事も好きだ

けど、やっぱり定期演奏会が一番かな。

だって、自分たちで企画して自分たちで演奏するなんて、こんな手作り企画、他にないでしょう?

さぁて!今年はどんなイベントで盛り上げようかなぁv

「大まかな流れを説明します」

部長の言葉にそって書記であるかじゅま(またこんな言い方すると怒られるけど、怖くないからいいや)が黒板にきれいな字ですらすらと書いていく。

トランペットパートのほうを見てみると、一人机の上に座って結人がノートへ板書していた。

部長の話はこうだ。

まず、今年の定期演奏会は3部構成。

第1部がクラシックフェスティバル。今年の自由曲、課題曲のほかに人気のある昔の課題曲やクラシックなどをやる。

自由曲、課題曲以外のクラシックは部員のアンケートにそって決めるらしい。

第2部、ソロ・アンサンブル。今年のソロコンまたはアンコンに出る組が出演。その他、特別出演として1年生も何人か出るみたい。

たしか、みゆきちゃんもエントリーされてたなぁ。あの子最近頑張ってるから。うん、いいことだ!パートリーダーとしても鼻が高い。

そして最後、第3部。ポップスカーニバル。今話題のポップス曲や、ちょっと型の外れた楽しい曲をやる。

演奏会の中でも一番盛り上がるところ。正直、クラシックやアンサンブルなんかは吹奏楽やってる人とかしかわからないけど、ポップスなら誰でも楽しめる。

お客さんが一番楽しめるところだから、私も一番大好き。

今年はどんな曲やるのかなぁ〜♪

「細かい曲は部長、副部長、パートリーダー、セクションリーダーで決めます。決まり次第ミーティングで伝えます。後、今年ソロコン、アンコンに出る人と選抜された1年生は来週までに何の曲をやるかを提出してください」

以上、解散。と渋沢部長がファイルを閉じた。

ぞろぞろみんな帰り支度を始める。もちろん、一年生は片付けがあるのですぐに2音へ向かったけど。

私も昔はやったなぁ、なんてしみじみ思っていると後ろからトントンと肩を叩かれる。

パっと振り向けば、そこにはセクションリーダーの英士が立っていた。

、早く楽器しまわないと1年生にもみくちゃにされちゃうよ」

「あ!そうだった!急がないと!」

「ちょっと待って。明日の朝と昼休み、部長・副部長・パートリーダー・セクションリーダーは曲決めだから練習はなしだって」

な、な、なんですとぉ!?

私から朝練を奪う気か!?なんでそんな残酷なこと・・・!!酷いよ部長!酷いよ西園寺先生!

でもあの二人にはむかえばどんな結末が待っているかなんて火を見るより明らか。黙って従うしかない。

かといって私はみんなより早く来るから全く楽器に触れられないってわけじゃない。よし、明日は何が何でも楽器に触ってやる!

「うん!わかった!」

「・・・・何考えてるか大体わかるけど、無茶だけはしないようにね」

「え、えぇ〜?な、なんのこと?」

「別に。ほら、早く楽器」

「そうだ!じゃ、ありがとね英士!」

英士の元から猛ダッシュで楽器倉庫へ向かう。ホントは楽器持ったまま走っちゃいけないんだけどね。そこは多めに見てください。

にしてもさすがエスパー英士。私の考えてることまるでお見通しだ。

この部活にはエスパーが多い。みんなは私がわかりやすいだけだって言うけど、絶対エスパー。読唇術くらい余裕で持ってると思う。

断じて私が単純ってわけじゃない。うん、そうだよ・・・いや、そうだといいなぁ・・・。

1年生が一生懸命片付けしているところを申し訳なさそうに掻き分けて自分の楽器ケースを取る。

丁寧に楽器を拭いて、そのまままた楽器倉庫へ。

今日も一日ありがとう。また明日、よろしくね。相棒!

軽くケースにキスをして、棚に置いた。

「うわっ!気持ち悪っ!」

突然後ろからそんな声が聞こえた。

誰だ!この私を気持ち悪いなんていうやつは!!

「どこが気持ち悪いんですか!みかみん先輩!」

「楽器ケースにキスするやつを気持ち悪がらないで、他に誰を気持ち悪がんだよ」

「そこらへんは適当に誠二あたりでいいじゃないですか!」

そこで誠二がくしゃみをしたのは、また別の話。

「っていうか、なんでみかみん先輩がここに?」

「定期演奏会のセッティング表がお前の足の下にあんだよ」

ん?セッティング表って・・・あ。

「何堂々と踏んでんだてめぇは・・・・!」

「わぁ!す、すみません!ごめんなさい!だからそんな怒らないで、みかみん先輩!」

「その言い方やめろぉ!」

思いっきり踏んでたよ、セッティング表。そりゃ怒るよね、いくらヘタレみかみん先輩でも。

「痛っ!なんで叩くんですか、みかみん先輩!」

「お前、今失礼なこと思っただろ」

ちっ、バレてたか。・・・ってあれ?なんかこれ前にもあったような・・・。ま、いっか。

ほら、ここにも一人エスパーが。

「とにかくそこどけ。あ、それと明日の話し合い俺も出るからな」

「え!?なんでみかみん先輩が・・・」

、お前俺がいちゃなんか問題でもあんのか?あぁ?」

「な、ないですないです!全然ないですよーあははははぁー;」

「ちっ!俺だって出たくねぇのに・・・セッティングの位置関係も話し合うから参加しろだとよ」

「へぇー案外大変なんですね、セッティングリーダーって」

「それどういう意味だ?」

「べ、別に他意はないですよ!?」

「まぁいいか。じゃ、また明日な」

私の足に踏まれ、くしゃくしゃになったセッティング表を持って、みかみん先輩は楽器倉庫を後にした。

な、殴られなくてよかった・・・!

なにはともあれ、明日の話し合い。一波乱ありそうだなぁ・・・。























































































「では、これより曲決めの話し合いに入ります」

日付は変わって1音。部長、副部長、パートリーダー、セクションリーダー、セッティングリーダーが顔を揃えて座っていた。

もちろん誰も楽器なんて持ってなかったけど、私は別。だって1時間前に来てしっかり基礎練したもん。

手放したりなんかしないよ、私の愛しいサックスちゃんv

、顔がにやけてるわよ」

「は!有紀!いつの間に隣に?」

「ずっといたわよ;」

そうだっけ?まぁいいや。さぁさぁ早く曲を決めましょ。

「まず第1部のクラシックフェスティバルですが、課題曲・自由曲のほかに何かやりたい曲はありますか?」

「はいはーい!」

元気よく手を上げたのは誠二。相変わらずいつでもどこでも元気いっぱい。

「マゼランやりたいっす!キャプテン!」

「あ、それは俺もやりたいです」

隣にいた笠井くんが小さく手を上げる。

マゼランといえば、あのマーチングでもやった曲だよね。

うん、私も好きだし、結構いいかも♪

「あと、風の舞もやりたいな」

パーカスのパートリーダー天城が細々と言った。風の舞、去年のコンクール課題曲だ。

「じゃあその2曲でいいですか?」

有紀がノートに書き留める。全員一致でうなずいた。

しかし、そこでうまくまとまらないのが我が吹奏楽部の特徴。

「ちょっと待って」

意義を唱えたのは西園寺先生。またこの人が火種か・・・。

「何か言った?さん」

「え、なにも・・・」

「そう。じゃあいいわ」

忘れてた、この人もエスパーだったんだ。怖い怖い・・・。

「風の舞、確か去年A中がやって全国まで行った曲よね?」

「あ、はい。そうですけど・・・それがなにか?」

有紀がファイルをみつつ、先生に問う。

「A中がやった曲をうちがやるなんてレベルが低すぎるわ。別の曲にしましょう」

「え、でもあの曲すごいいい曲だし・・・」

命知らずにも意見したのはユーフォの内藤くん。だめだって!この人に意見しちゃ!

「・・・・なにか?」

冷ややかかつきれいな笑みで内藤くんを見る西園寺先生。1音が凍りついた。

「なんでもないです;」

哀れ内藤くん、すっかり凍り付いてしまった。無論、他の人も全員。

「じゃあ、クラシックフェスティバルはマゼランとWishで行きましょう」

Wishといえばすごく難しいとされる何年前かの課題曲。まぁ、これもいい曲だけど、1年生は吹けるかな。

あ、ちなみに。

A中っていうのはうちのライバル校。毎年合同練とかして一見仲良さそうに見えるけど、実際はそうでもない。ってか激悪。

だから西園寺先生もA中がやった曲だからっていう理由だけで風の舞を嫌がったってわけ。

まったく安易なんだから・・・。なんていうとまた怒られる。

さん?」

「は、はい!?」

「なにか、言った・・・?」

「な、な、なにも・・・」








西園寺先生。お願いだから人の心読まないでください・・・。




















定演いいですよね

花月