ほら、嫌な予感ってあるでしょ?











それってね、確実に当たるんだよ











私の場合











冒頭からして











悪い予感だったから・・



























































































ガラクタ交響曲-空気との共鳴-




















































































「えー!?桐原学園の関係者!?」

「わっ!アホ!声がデカイねん!」

シゲから定演に桐原学園の生徒手帳が落ちていたと聞いた私は思わず声をあげてしまった。

だってあの桐原学園だよ!?・・・っていっても知らないか。みんなは。うん、そうだよね。空回りだよね、私。

説明しよう!桐原学園とは、A中と同じく私たちのライバル校。毎年全国へ行ってて、上手いと評判の学校だけど、私はあんまり好きじゃない。

やり方が汚いっていうか・・音に気持ちがこもってないっていうか・・・なんだかうまく表現できないけど、あんまり好きじゃないのはホントの話。

先代、というか前まで私たちなんかマークすらしてなかったのに、今回桐原学園の関係者が見に来ていたということは・・・。

「私たち、マークされてる?」

「みたいだな」

シゲの隣にいた水野がため息交じりに言う。

桐原学園にマークされてたんじゃ、結構危うい。なんせ桐原学園はマークした相手を徹底的につぶしてくるから。

でもさ、これって逆に言えば、嬉しいことなんじゃない?

「桐原学園にマークされてるってことは、それなりに腕が上がったってことでしょ?」

「ははっ、ええなぁその考え方。さすが楽天主義者や」

「あのな、。桐原学園にマークされたってことがどれだけ厄介なことかわかってるか?」

「だってさ、前までは目にも止まってなかったんだよ?それが今回のコンクールではマークされてる。なんかやりがいがあるっていうかさ。そう思わない?」

「だけど・・・」

「ええやんええやん、たつぼん。プラス思考に考えなあかんで。桐原学園なんて俺らが叩き潰したる!くらいの勢いがないと、今年のコンクールはやっていけんと思うわ」

「そうだよ水野。返り討ち、返り討ち♪」

「はぁ;わかったよ。頼もしいな、お前ら」

「「当たり前やーん!」」

「おーい、そろそろ合奏始まるぞ!」

翼先輩が手を振りながら私たちを呼んだ。

さ、愛しいサックスちゃんが冷めないうちに、さっさと合奏始めましょうか!

待たせてゴメンね、サックスちゃんv

「全員揃ったわね。じゃ、はじめましょうか」

「起立、礼。お願いします」

『お願いします』

どうやら私たちが最後だったみたいで、2音に入ると同時に合奏がスタートした。

「今日はみんなにちょっと考えてほしいことがあります」

西園寺先生は、タクトを指揮台において黒板になにやら書き始めた。

もしかしてBR法とか書くの!?なーんてこと考えたけど、それは夢小説の読みすぎでした。

今から殺し合いをしてもらいます。

いや、勝てないから。この濃いメンツじゃ勝ち目ないから。

しかも古くない!?と思ったあなた!それが夢小説の中ではまだまだBRは健在なんですよ。

BRin笛中とか、なんかドラマになりそうだね。実際あったら怖いけど。

さて、そんなオタク思考は置いといて。

西園寺先生が書いたのは『空気の共鳴』についてだった。

「みんな、なぜ音が聞こえるかはわかってるわよね」

えっと・・・たしか、空気の振動が鼓膜に伝わって――みたいな感じだったよね?

それが、なにか?

「つまり、空気がなければ音は響かない。そこで、みんなには空気と音の共鳴を考えてほしいと思います。より良い響きを作るためにね」

あ、なるほど。つまり音作りね。

でもそれはロングトーンとかやってればいいんじゃないのかな。

「ねぇねぇかじゅま」

「かじゅまって・・・;なんだよ」

「音作りってことでしょ?要は。ロングトーンじゃダメなの?」

「ダメだろ。ロングトーンはあくまでも音の質を良くするためのもので、響きを作るにはまた別の方法考えなきゃな」

さすがは元選抜。あ、今もか。

じゃあ具体的に音の響きを作るには、どうしたらいいの?

「これからセクション練に写ってもらいます。やることは倍音。以上、解散」

一年生が一気にセクション練の準備に移る。やることが早いねぇ。

と、そんな関心してる場合じゃなかった。セクション練と倍音について、説明するね。

まずセクション練。これはパートとかなくて1部、2部、3部、4部に別れた練習のこと。

1部が低音。2部が中低音。3部が中高音。4部が高音。

サックスで説明するなら、1部がバリサク。2部がテナー。3部がアルト。4部がソプラノ、みたいな感じ。

そして、倍音っていうのは、響き作りや音程作りのときに欠かせない練習。

毎朝やってる練習だから、1年生も知ってるはず。

まず低い1部の音から基本音(B♭)を出す。このとき、あわせるのはHD(ハーモニーディレクター)。

低い楽器から順番に重なっていくとB♭の倍音、Fが聞こえてくる。

これが聞こえるとB♭の音は合ってるってこと。ただ、耳が良くないと聞こえないからまだ1年生の中には聞こえない子もいるみたい。

最後に全体(低音以外)、低音、コントラバスの順で音を消し、ラストまでFの音が消えなかったら成功。途中でFが消えたり、揺れたりするとアウト。みたいな感じ。

長くなっちゃったけど、大まかに説明するとこんな具合かな。

さて、早速セクション練に移りますか。

テナーは2部だから3階のスペースに集まった。

「遅いよ、

「ゴメン設楽。説明してた」

「何をだよ;」

2部のメンバーを紹介しましょう。

まずテナーサックス。これは当然として、ファゴット、トロンボーン(バストロ以外)、ユーフォ。以上4つの楽器。

比較的影の薄い・・・失礼、落ち着いたメンツが集まってる。

まぁ、部長とか私とか濃いけどね。

もちろん2部を仕切るのは部長。部長がいないときは私。部長は仕事でよくいなくなっちゃうから主に仕切ってるのは私だけどね。

今日は部長がいるから、仕切らなくて済む。良かった。

「じゃあ下から重なります。ユーフォ、トロンボーン、サックス、ファゴットの順で」

『はい』

返事をして、さっそくユーフォのパーリである内藤くんから入っていく。

相変わらずいい音してるね、ユーフォパート。

ユーフォが全員揃ったら、次に渋沢部長のトロンボーン。そしてサックスは私から、かじゅま、みゆきちゃんの順。で、ファゴットの設楽が入って最後は戸田先輩。

目を閉じて、音に集中すると・・・お、聞こえてきた聞こえてきた。Fの倍音!

どうやら全員聞こえているらしく、音にうねりがなかった。みゆきちゃんは聞こえてるかな?

渋沢部長が楽器を置いて、終わりを指揮する。

そして、全員のトリが終わった。

「みゆきちゃん、聞こえた?」

「はい!聞こえました!」

「うん、Fもよく出てたし、いいだろう」

部長が笑顔で手を叩く。

〜どこまで聞こえましたぁ〜?」

「え、Fですけど?」

「僕はDまで聞こえましたよぉ〜」

な、なに!?須釜先輩め、Dとか言ったらFのもう一つ上じゃないか!

あ、言い忘れてたけど倍音っていうのは無限にあって、Fが合ったらDとかまで聞こえることがある。

よっぽど耳がいい人じゃないと聞こえないけどね。

「サックスパートのパーリーとしてどうなんですかねぇ〜?」

「う・・・っ!か、かじゅまは聞こえなかったよね!?」

「え、俺もDまで聞こえたけど?」

この裏切り者!息漏れのときは聞こえなかったくせに!

こうなったら全員強制アンケートだ!!

「はいはいはいはい!質問!」

「どうした?

「Dの倍音まで聞こえた人、挙手!」

へへ、どうせ須釜先輩とかじゅまの2人だけだろー。他のみんなが聞こえるわけ・・・聞こえる・・・わけ――

「・・・・・・・・・・なんで?」

なんと手を上げたのは私とみゆきちゃん以外の全員。

「え、まさか。聞こえなかったのか?」

部長がちょっと目を大きく開いて聞いてきた。

なんで!?なんで聞こえてんの!?私結構耳良い方なのに・・!?

「い、いいもーん!みゆきちゃんがいるもーん!」

、1年生の同格で悔しくないのか?」

「うるさい設楽!私はどうせ聞こえなかったよー!悪い!?文句あんのか!?」

「「「「「「「「ある」」」」」」」

うるさーい!今日は調子が悪いだけだもん。普段なら聞こえるもん・・。

、負け惜しみは見苦しいぞ」

「うわぁーん!!」














倍音なんて・・・倍音なんて・・・・・・
















大っ嫌いだ!!



















倍音は私も嫌いです

花月