突如はじまった悪夢の大会














人々は商品ほしさに














心を黒くして戦うのであった・・・












































































ガラクタ交響曲−ロングトーン大会 中編−
































































西園寺先生から告げられた悪夢の大会「ロングトーン大会」。

20分後、楽器を暖め終わった部員達が、一同に一音へと集結した。

「みんな、集まったみたいね」

妖艶な笑みをうけべながら、西園寺先生が入ってくる。みんなは豪華商品をかけた戦いに、気合充分といった感じだった。

まずは予選。パート内での代表を決める。ここで代表にならなければ、豪華商品はおろか、あの変なジュースを飲まされてしまう。

「それじゃあパートない予選をはじめます。パートリーダーは前に出て、順番を決定してください」

渋沢部長が何本かの棒が入った箱を持って立つ。できれば真ん中くらいがいいなぁ。最初だと緊張するし、最後だと楽器が冷めちゃうから。

、頑張ってこいよ!」

ありがとう!みっくん!絶対良い順番とってくるからね!

「おいおい、で大丈夫かよ」

うるせぇ、みかみん先輩。これで順番最悪だったら、みかみん先輩の所為だから。

、頑張れ」

水野ん!ありがとう!君はもう一人のタレ目とはワケが違うね!

「まぁ、適当に」

おい黒川!?あんた本当にこの大会に参加する気ある!?

「お、応援してっから・・・//」

サンキュ、かじゅま!ってかなんで赤くなる?まぁいいか。かじゅまだし。

「良か順番とってこんかったら、10km走やけんな。きばりぃ」

はっ!?マ、マジですか・・・!カズさん、きつか〜!

先輩!頑張ってください!」

ありがとう〜みゆきちゃん!本当にあなた、可愛いわぁv

。早く来なよね。始められないだろ?」

「翼先輩!すみません」

ほとんどのパーリーが集まっている中、少し遅れて私も参戦。選んだ棒を握り締め、一斉に箱から取り出すと・・・。

「よっしゃぁぁあぁあぁ!!!!」

「いやぁあぁあぁ?!!?!」

それぞれに雄たけびを上げるパーリーたち。ちなみに私は前者の雄たけびの方だった。

!どうだった?」

「やったよみっくん!5番だよぉ!!」

「よくやったー!ー!」

「よし。それでこそ、サックスのパーリーたい」

「すごいです先輩!」

「おめでと」

「すっげーな!!」

「よかったな、

にしては上出来なんじゃねぇか?」

ありがとうみんな!これもみんな(一部を除く)のおかげだよ!5番といえば、私が狙いに狙っていた最高の順番!音楽の神は常日頃から私の努力を見ていたんだわ!

そんなこんなで、順番が決定。では!ご紹介いたしましょう!

1番。須釜先輩率いるトロンボーンパート。渋沢部長がいる注目パートの一つ。鳴海なんかも結構くるんじゃないかな。

2番。翼先輩率いるホルンパート。副部長の有紀やユン。それにまーみやんなんかが在籍する、こちらも注目度は絶大。天才に勝る天才がいるのかが、勝負のカギ。

3番。笠井くん率いる、おとなしさNO.1のフルートパート。静かだけど、白熱した戦いが見られそう。

4番。郭英士率いるクラリネットパート。デジタル不破、腹黒タッキー、浪花の癒し系、クールビューティーなどなど、バライティーにとんだ方々がいる、巨大パート。

5番は言わずもがな、サックスパート。私に勝てる人なんてたぶんいないだろうけど、以外とみんなしつこそうだから、これまた難解。がんばろう。

6番。よっさん率いるバスパート。畑兄弟と横山先輩の粘りにも期待がかかる。

7番。パーカッション。天城率いるこのパートがはたしてどこまでの実力を発揮するのか!?

8番。山口先輩率いるWリードパート。吹奏楽器の中で一番息が続くとされるWリード楽器。高レベルな戦いが期待できそう。

9番。内藤先輩率いるユーフォニュームパート。部内で一番人数が少ないこのパートで生き残るのは、はたして誰か!?

そして10番。楽器の冷え切ったころに戦うのはお騒がせ代表のトランペットパート。なぜか誠二がパーリーのこのパート。遅刻3人組に対して、山川くんや小岩くんたちの活躍にも期待。

どのパートも白熱すること間違いなし。ちなみに、審判に公平を期すため、審査員は各パートのパーリーと西園寺先生。それに、部長と副部長が勤めることになった。

もちろん、自分のパートがやるときは試合に参加。それ以外は審査員席に座って、誰が一番長く続いたかをチェックする。

とうぜんサックスのパーリーである私も審査員席へ。うわぁ〜こんなに近くでやるのか・・・。緊張しそう。

なんたって、ど真ん中にあの西園寺先生が座ってるんだから。これがまだ普通の部員だったらわかるけど、あの!西園寺先生・・・。緊張も2倍。

「あ、有紀だ!やっほ〜v」

、不正するんじゃないわよ?」

「あったりまえじゃない!だって自分のパート以外なんでしょ?するわけないってv」

(自分のパートだったら不正するの・・・?)

「それじゃあ最初は・・・トロンボーンパート。準備して」

はい、とまとまった返事をしてトロンボーンたちが審査員席の前に並ぶ。その後ろに構えるみんなも最初の代表者、そしてあのジュースの犠牲者は誰かと固唾を飲んで見守っていた。

「不破君、準備はいい?」

「当然だ」

あ、不破っち。そういえば、タイムキーパーは最高タイムも計るんだっけ。ストップウォッチを構える不破っち。う〜ん!仕事人って感じ!

開始の合図は、公平に先生の指揮(4拍子)で始まる。3で息を吐いて、4で息を吸う。そして次の1拍目から吹き始める。このときも、不正を働かないように私たちがしっかり見張るっていう仕組みだった。

「それでは始めます。1、2、3、4・・・」

先生の手が振り下ろされると同時に、不協和音が1音中に響いた。各自自分の出しやすい音って違うから、案の定みんなばらばら。

耳が痛い〜〜!タッキーやノリックなんかは耳が良いから、もっとひどいんだろうな。これでチューニングできなくなったらどうするんだろう。まぁ、それはそれでいいけどv

開始から15秒。まだみんな余裕の表情。須釜先輩と渋沢部長なんて、他の人をみる余裕さえある。さすが!レベルが高い!

と、ここで一人音が小さくなる。谷口先輩だ。バストロはきついもんねぇ・・可哀想に。そして開始1分。一人目脱落。

「谷口失格。谷口君、お疲れ様。脇に避けててちょうだい」

「はい・・・」

肩息をしている谷口先輩に、西園寺先生は優しく声をかけた。ロングトーンって意外と地味だけど、けっこうきついらしい。谷口先輩の顔を見れば、そのことがよくわかった。

不破っちがノートに記録をとる。残り3人。あとは誰が・・・ってあれ?鳴海、口はつけてるけど音は出てなくない?

「ねぇ、有紀。鳴海が・・・」

「あ、ホントね。西園寺先生。鳴海、音が出てません」

「鳴海失格。なお、不正した罰により、ジュースはジョッキで飲んでもらいます」

ジョ、ジョッキ!?!さすがの鳴海も青ざめている。あいつめ〜先輩達の音が大きいからって、不正するからだ!自業自得。でもジョッキって・・・;(合掌)

やっぱり残ったのは渋沢部長とパーリーである須釜先輩。どっちもテクニックはかなり高い。ギリギリの攻防が続いていた。

(やっぱり須釜と残ったね)

(負けませんよ〜部長さんv)

おぉ〜!互いに目で争ってる!いやいや、二人とも!そんなとこで張り合う前に集中しないと!息切れちゃいますよ。

((負けろ〜〜!))

こ、怖い・・・!後ろからなんか黒い影が・・・!そしてだんだん小さくなる音。だけど、最初に音が途切れたのは・・・。

「ハァ。さすが部長ですね」

須釜先輩の方だった。お疲れ様先輩。その直後、渋沢先輩の音も途切れる。二人とも息遣いが荒い。そうとう激しい戦いだった。

「トロンボーン代表者、渋沢」

西園寺さんが声をあげると、後ろのギャラリーが盛り上がった。ねぇみんなわかってる?もしかしたら、渋沢部長と戦うかもしれないんだよ!?なんでそんなに盛り上がれるの・・・;

まぁ、楽しいに越したことはないけどね。それじゃあ、次のパートに行きますか!

「お手柔らかにね、玲」

「あら。でも身内だからって甘くはしないわよ?」

ホルンを抱えた翼先輩が西園寺先生と話してる。う、麗しい・・・!美系同士が話すと、まるでバックにバラの花が見えているような優雅さが漂っていた。

「有紀も頑張ってね!」

「ありがと。頑張るわ」

マイスイート、有紀ちゃんも参戦。ユンとまーみやんも準備ができて、西園寺先生の指揮と共にまた不協和音が響き渡った。

「すごい・・・」

思わず声に出てしまうほど、このバトルはすごい。みんな音が綺麗!ホルンの音色って前から好きだったけど、それぞれ違う音出しててもこんなに綺麗なんだ。

ちょっと感動。すごく尊敬。

早くも開始1分。いまだ脱落者はゼロ。そりゃそうだよね。翼先輩は天才、有紀は副部長、まーみやんはマム・・・失礼、しつこい性格。それに、ユンだって本場(?)韓国で学んだ実力者。

しかし、開始1分30秒を過ぎたところで、一人脱落。それは以外にもまーみやんだった。

「お疲れさま、間宮くん。下がってて」

「・・・・」

むごんで悔しさをかみ締めるまーみやん。マム・・・いや、しつこさの代名詞(?)もなんだか寂しそう。どんまい、まーみやん。また来年があるさ・・・(?)

開始2分。もうここまでくると神の領域。誰一人として落ちようとしない。そしてトロンボーン同様、3人とも目で語り合っていた。

(もう2分だってよ?早くどっちか脱落してよ〜)

(絶対嫌。なら、あんたが落ちればいいでしょ?)

(やるだけ無駄だよ、二人とも。僕は天才だからね)

怖いよ〜!やっぱり後ろには黒い影。白熱した戦いに、後ろのギャラリーも顔が引きつっている。だってこんな最強軍団の代表者と戦うなんて、想像しただけで卒倒しそうだもん。

「はぁ!やーめた」

「え!?ユン!?」

いきなりユンが止めだした。なんでよ、まだまだいけたはずなのに・・。

「ユン、ジュースが飲みたかったんでしょ?」

「さすがヨンサ!わかってるね☆」

あのジュースが・・・飲みたい!?飲みたがる要素がどこにあるの?ってかあれ本当に飲み物なの!?

なんだか不完全燃焼だけど、残りは2人。部活のマドンナ有紀と、天才翼先輩。

開始3分。そろそろ限界が近づいてきた二人は、もうほとんど虫の息。聞こえるか聞こえないかのギリギリで吹いてる。すごい・・・。

そして審査員が耳を凝らす中、中央に座る西園寺先生がストップをかけた。あぁ、こりゃきっとアレだ・・・。

「小島さん、さっき一瞬途切れちゃったわね」

「はい・・・」

やっぱり。でもホントに一瞬だよ?ソレを聞き分けられる先生って本当はすごい人なんだ。あ、でも私も聞き分けられたからすごい・・って誰!?今石投げたの!!

「ホルン代表者、椎名」

またも後ろから盛大な歓声。当の翼先輩は当然といった感じで、受け流していた。

「お疲れさまです、二人とも」

「あぁ。ま、やる前から結果は見えてたけどね」

「言っときますけど、椎名先輩。私のはミスですから。あれがなければ私が勝ってました」

「ミスも実力のうちだろ?」

いやぁ!!誰かこの二人を止めてください!怖くてたまらない〜〜!

それじゃ、つぎに行きましょう!フルートパートです!

って、私が恐怖に震えてる間に、もう始まってるし。綺麗な音色が響く。このパートは偶然か必然か、みんな同じ音。う〜ん心が和むわぁv

だけど、早くも一人脱落。早っ!誰?まだ30秒も経ってないけど。

「上条失格」

あ、お嬢様失格かぁ。さすがに根性ないね。あれ?ちょっと違う?まぁいいや。なんか妙に納得してしまう自分がいた。

それに続いて、板井・風祭が失格。少し間をおいて、小堤くんも失格になった。

スピート決着で代表者はパーリーの笠井くんに決定。これにも妙に納得してしまう自分がいる。

なんだか和やかに始まって和やかに終わったって感じ。どうした?前の2つはもっとどろどろしてたのに、なんだかちょっと味気ない。

「おめでとう、笠井くん」

「ありがとう。さん。なんかギャラリーが静かなのは気のせい?」

「あはは〜・・・たぶん気のせいじゃない」

もっと盛り上げたほうがよかったかな、と呟いて笠井くんは審査員席に着いた。

うん、もしかしたらその方がよかったかもよ。笠井くん。

さて、お次は大御所クラリネットパート!どんな腹ぐろ・・・じゃなかった白熱したバトルが見られるのか、こうご期待!

場が和やかになったところで、一度休憩が入れられることになり、それぞれに休息の時間をとっていた。

いよいよ次の次かぁ・・緊張するなぁ。でも頑張らないと!チューナー・メトロノームそして何より金一封のために!











ひとまずここまで。後編で終われるかな・・・

花月