金一封











金目的に目の色が変わった部員たち











さてこの大会を制するのは・・・











いったい誰だ?



































































ガラクタ交響曲−ロングトーン大会 後編−


































































第一回笛中学校ロングトーン大会。次は部内の大御所、クラリネットパート。

英士や不破っち、ノリックにタッキーなどなど幹部も大勢いるこのパート。みんなの実力は確かなもの。

さぁて、誰が代表になるかな・・・。

、ちゃんと応援してや〜」

「何言ってんの。は俺を応援してるに決まってるでしょ」

「もちろん僕だよね、

ノリック、英士、タッキーが開始前から黒いオーラを発してる・・。今からそんなんで、始まったらどうなるのよ;

「公平に応援してます。がんばってね、みんな」

「それではクラリネットパート、始めます」

西園寺先生の言葉で、みんな所定の位置につく。そして不協和音が響き渡った。

ちなみに不破っち不在のため、私がタイムキーパーを兼任してます。不破っちのストップウォッチだぁ〜v

不協和音とはいえ、みんな音質良いなぁ。うらやましい。誰が候補だろう。ここはやっぱりパーリーの英士?でもノリック、タッキーとも侮れない。他のメンツもけっこう伸びてきてるし。

開始30秒。まだまだ余裕。だけど、ここでありえない音が聞こえた。

「し、しもた〜!」

声をあげたのは井上。最初に聞こえた音は、どうやらリードミスの音だったらしいんだけど、その原因がなんとリードの調整ミス。ってか、割れてない!?

「井上、失格」

「そ、そんなぁ;」

あわれ井上、リードが割れるなんて。可哀想に。本当に運の無いやつだねぇ。

と、これに引き続き、桜庭と上原が脱落。なんとも運のない人が多いらしい。

後で敗因を聞いたところ「井上の声にびっくりした」と帰ってきた。お前らそれでコンクール出れんのか。

そんなこんなで残り7人。まだまだ激戦は続いている。意外にも中西くんが頑張ってる。バスクラなのに、すごい。だけど、ちょっと苦しそうな表情。それは伊賀も同じだった。

そして開始1分30秒。伊賀と中西くんが脱落。2人の健闘をたたえて、ギャラリーからは拍手が起こった。がんばったね、2人とも!

残るは5人。パーリー英士、チューニングズのノリック&タッキー。デジタル不破っち。そしてクールクラリネッター平馬。

ここまでくると、ホラ。やっぱり後ろに黒い影が・・。

(ちょっと早うしてーな。僕もう無駄な体力使いたないねん)

(どうせ俺の勝ちに決まってるんだから、早く落ちてよ。時間の無駄でしょ)

(別に代表にはなれなくてもいいけど、郭くんにだけは負けない・・・)

(俺の計算では、後2分以内に俺の代表入りが決まるはずだ)

(もうどうでもいいから、誰か落ちろよ)

なんでこの部活、こんなに怖い人が多いわけ?入る部活間違えたかな・・・。

まぁ、とにかく接戦も接戦。大接戦。これは笛中の伝説に残るほどの戦いだわ。ってかもう3分過ぎてるんですけど。す、すごい・・・。

「「はぁ!」」

ここで二つの音が途切れた。前を見ると、肩で息をしている不破っちと平馬。さすがに辛いよね、3分以上もロングトーンするって。

にしてもどういう人たち?なんでまだ余裕の顔なわけ?怖い!ここまでくるともうすごい通り越して怖い!

「お疲れ2人とも」

「おう、ありがと」

「おかしい。俺の計算だと・・・・」

不破っちは何やら自分の計算が狂ったから再計算をしてるらしい。いや、もう終わったんだからそんなことしなくても;

そしてついに開始から5分が経過。さすがの天才たちも音が小さくなっている。もう意地でやってるね、この人たち。

ほとんど聞き取れないほどの音量。それでもまだ音は続いてる。ついに開始5分45秒。消えかかっていた音は完全にその姿を消した。

「そこまで。勝者・・・」

保留だろうなぁ。なんせ本当に誰が最後まで残ったかなんてわかんなかったし。さすがの西園寺先生もこれで勝者がわかるなんて・・・。

「郭英士」

わかるんだ。当然、他の2人は命知らずにも西園寺先生に講義する。お金って、人を変える力持ってるよね。

「なんでなん!僕のほうが長く吹いとったで!」

「いや、僕が一番でしたよ」

「見苦しいよ、2人とも」

あわわ、また黒いオーラが・・。そして西園寺先生からもそれに負けないくらいのオーラが。どす黒いオーラが出ていた。

「私の判定に文句あるの?2人とも?」

「「ありません」」

怖い。怖すぎる。あのタッキーとノリックを黙らせるなんて・・!この人、実は人間じゃないのかもしれない・・・。

そんなこんなでクラリネットパート代表は英士に決まった。あの大魔神たちの代表。強敵だね。

「お疲れ、英士」

「あぁ、楽勝だったよ」

「ホント?」

「ホント」

なにしても、そつなくこなすよなぁ英士って。あれだけ長い間吹いてても、涼しい顔してる。

恐るべき、クラリネットのパートリーダー。

さてお次はいよいよサックス!私の出番!もう勝負は決まってるけど、一応他の人たちのことも考えてあげないとねvというわけで、さっそくスタンバイ。

、負けないからな!」

「それはこっちの台詞よ、みっくん」

「まぁ、代表は俺に決まってるけど」

「そういうことは勝ってから言ってください。みかみん先輩」

「てめぇ・・・」

「なんでもええけん、早う位置につかんね」

「真田、緊張してんのか?」

「なっ!んなわけねぇよ!黒川こそ、本当はビビッてんじゃねぇの?」

「俺は余裕」

それぞれ心境は違えど、気合は入ってるみたい。さて、私の率いるパートがどれだけのものか見定めてやりましょうか!

みんなが位置につき、さっそく先生の合図で不協和音が奏でられる。うわぁ、自分達で奏でると予想以上につらいわ。

できるだけ出しやすい音にしたけど、やっぱりきつい。音質とか音程とかを気にしない分気が楽だけど、そうとうのプレッシャーがかかってくる。

まだ余裕があるから、周りを見渡してみる。みっくん、みかみん先輩、水野、それとカズ先輩はそれぞれ余裕の表情。黒川も然り。かじゅまは緊張してるみたいだけど、息はまだ続いてる。

心配なのは、みゆきちゃん。やっぱり1年生だし、緊張もある。

大丈夫かな・・・って人の心配してどうすんの。自分でも危ういのに。

開始から1分30秒が経過したころ、みゆきちゃんが落ちた。よくがんばったね、みゆきちゃん。後で褒めてあげよう。にしても、想像以上にきつかったわ、この大会。

残りは7人。いずれも強敵ぞろい。と、ここで音が小さくなってきたのがかじゅまとみっくん。

2人ともこういうのよりもテクニックで勝負するタイプだから、やっぱりきつかったのかな。同時に音が切れて、失格。悔しそうな顔が見え隠れした。

「ダメだな、一馬。情けない」

「う、うるせぇよ結人!」

「ドンマイ、一馬。所詮あがってきても俺と当たることになってたんだから」

「そうそう、ヨンサじゃ勝ち目ないって」

「・・・・・」

あらら、仲間内でもからかわれてる。本当につくづく損な性格だよね、かじゅまって。

みっくんは小岩くんとか阿部くんとかに慰めてもらってる。うん、いい関係だ。

あと5人。そろそろ私もきつくなってきた。で、この辺になると出てくるのがダークオーラ;やっぱりサックスパートにも出てきましたよ。

(もうそろそろ限界なんじゃねぇの?水野くん)

(そっちこそ音が小さくなってますよ、みかみん先輩)

(どっちにしろ勝つのは俺やけん、みんなの努力は無駄やなぁ)

(もうどうでもいいかも、俺・・・)

うわぁ〜!怖いよ〜!近くだと怖さ1000倍!特に水野とみかみん先輩の攻防が激しい!ってか黒川。やる気ないんなら、早くリタイアしてよ。こっちもいろいろ辛いんだから。

それに対してカズ先輩はやる気充分。もう勝つ気満々。くっそ〜強敵ばっかり。

「黒川、失格」

え?なんで?吹きながらそっちを見ると、しれっとした顔でキャップをしている黒川の姿が。どうやらリタイアしたらしい。

「案外長くやったじゃん、政輝」

「まぁ、元からやる気なかったしな」

翼先輩との会話を聞いてると、本当にやる気なかったらしい。金一封に目がくらまない人がいるなんて・・。

っていうか、みんなジュースの存在忘れてません?あれ飲むんだよ?黒川。あ、でも彼ならまずいの一言で済んじゃいそうだなぁ。

さぁ残りは私を含め4人!いよいよ大詰め、もうみんな必死に音を伸ばし続けてる。

3分経過。そして、それからさらに1分が過ぎようとしたとき、水野に思わぬアクシデント発生。どうやら井上と同じく、リードの調子が悪くなってしまったらしい。

自ら辞退を申し出た水野は、心底悔しそう。それに比べてみかみん先輩は心底嬉しそう。終わったあとだっていうのに、2人は激しく火花を散らしてる。

(残念だったねぇ〜水野くん)

(そっちももうすぐ負けるんだから、さっさと辞退したほうがいいんじゃないですか?恥かく前に)

だから、怖いって!もう終わったんだから、爽やかに行こうよ2人とも!

やたら長くねぇか?とギャラリーから声がもれる。そう、やたら長いよね、うちのパート。なにせ負けず嫌いがそろってるから。

でも負けないよ?金一封は渡さない!

4分半経過。よく耳を澄ますと、低い音がだんだんと小さくなっていく。カズ先輩!?

「はぁ・・・;ここまでかいな」

まさかカズ先輩がここで落ちるなんて・・・!嬉しいような悲しいような・・。でも大健闘!みんなからも拍手がでる。特に昭栄なんかは、涙を浮かべて感動してた。大げさ;

(さっさと落ちろよ、時間の無駄だろうが)

(みかみん先輩こそ、落ちてくださいよ!)

このエロ目タレ目だけには絶対負けない!あんなジュースも飲みたくない!

5分半。もうそろそろ私も限界。だんだん音が小さくなっていく。だけど、それはみかみん先輩も同じこと。そしてついに・・・。

「「ぷはぁ!!!」」

声をあげたのは同時。こりゃ判定待ちだね。でも絶対私のほうが長く続いてた!

「今のは・・・」

「「い、今のは・・・?」」

さんの方が長かったわね」

「はぁ!?」

「よっしゃー!!」

さすが西園寺先生!わかってますね♪みかみん先輩、残念でした!

講義に出ないあたり、もう立派な3年生。だって講義したらどうなるかわかってるし・・・ね;

というわけで、無事サックスパートの代表はこの私。に決定しました!よかったよかった。

「こうなったら、意地でも優勝しろよ、

「わかってますってみかみん先輩v」

審査員席に戻るときに、そう言われたのでウインクつきでお答えしました。もちろんここまできたら優勝あるのみ!頑張ります!

さて、次のパートはバスパート。低音はロングトーンが基本だから、所要時間も長かった・・・と思いきや、あっさりと勝ってしまったのは案の定よっさん。早くない?ねぇ、早くない?

「早かったな、ヨシ」

「あぁ、俺もびっくりや」

カズ先輩とよっさんの会話。はい、私もそう思います。

と、次のパート。パーカスだね。これはまた貴重な・・・。時間はどんどん過ぎて、やがては昭栄と天城の一騎打ち。そして勝ったのは、天然児高山昭栄。ちぇ、予想が外れたか・・・。天城だと思ってたのに。

「カズさん!よっさん!俺、勝ったとです!!」

「あーもーうかれんなや!せからしか!」

カズ先輩に抱きついて、蹴り飛ばされてる昭栄。いつ見てもいいコンビだと思うわ。さすが九州人たちの絆。

それからWリード、ユーフォと続いた。勝者はWリードが山口先輩。そしてユーフォは阿部くん。どちらもかなりの実力者。代表戦、負けられない!

「やっと俺らの出番かいな〜!待ちくたびれたで」

ちゃーん!応援してねー!」

「絶対代表になってやっかんな!」

でた。部内1のお騒がせパートが。楽器が冷え切ってるであろうこの悪条件で、はたしてどれだけの意地を見せてくれるのか。

と、始まる前に山川くんと小岩くんが西園寺先生に何かを伝えている。ひょっとして・・・。

「山川・小岩、棄権により失格」

えぇ!?どういうこと!?なんでそんなことしちゃうわけ!?

「どうしたん?怖気づいたんか?」

「ち、ちげぇよ!楽器の調子が悪いだけだ!」

楽器の調子が、ねぇ。あとで見せてもらおう。一通りのリペアならできるから。本当に楽器の調子が悪かっただけ〜?

まぁ、ともかく。これでトランペットは遅刻3人組の勝負となった。あのお騒がせトリオの中で勝つのはどいつだ!

「始め!」

高らかなトランペットの和音が広がる。

トランペットに愛された男、藤代。パワフルトランペッター、若菜。神童、藤村。誰が代表になってもおかしくなかった。

(早く負けたほうが傷が浅くて済むで、2人とも)

(ぜってー負けねぇ!)

(俺も!俺も!)

開始から早くも5分が経過。だけど、一向に音は衰えを見せない。すごい・・・。これがあのお騒がせトリオの実力。思わず息を呑んだ。

そして、開始6分。もう最高記録を更新しているこのパートにも動きが出始める。音質、音量ともに落ち始めてきた。

これは、もしかして・・?

「「「はぁ!!」」」

やっぱり;遅刻も一緒なら、終わるのも同時ってワケか。さすがにこれは西園寺先生の一存じゃ決めにくかったから、審査員での会議が開かれた。

そして議論の結果、代表者は・・・。

「藤代誠二」

「よっしゃー!!!」

コンマ何秒かの差で、藤代に決定。おめでとう藤代。よかったね。

ちゃん!俺やったよー!」

「はいはい、わかったから抱きつくな」(怒)

「これでちゃんと戦えるね!」

「だ・き・つ・く・な!!!!」(怒)

こうして、各パートの代表者が出揃った。

トロンボーンパート、渋沢部長。ホルンパート、翼先輩。フルート、笠井くん。クラリネット、英士。サックスはもちろん私。バスはよっさん。パーカス、昭栄。Wリードパート、山口先輩。ユーフォ、阿部くん。そしてトランペット、藤代。この代表10人で争われる代表戦。

金一封を目指して、それぞれに気合は充分!絶対に負けない!!















ところどころ省略してごめんなさい。終わらなくてごめんなさい。次で必ず終わらせます!

花月