日本人っていうのは











黒い髪、黒い瞳










それが普通だから










違う色になると










どこかしら違和感がある




















































































GOLD


















































































ある日。何の変哲もない朝のこと。その事件は起こった。

教室に入る前からなにやらざわついているのはわかったけど、まさかその原因がだとは思いもしなかった。

他のクラスの奴らも集まっていて、朝からにぎやかな教室のドアを開ける。するとそこには人だかりができていた。

の机の周り。何事かと俺は人の間からのぞいてみる。それと同時に俺は言葉を失った。



「あ、一馬!おはよー♪」

「・・・・・・・・・・・・」



だ。口調、姿、全ていつもの。だけど一つだけ違うのは、髪の毛の色。

昨日一緒に帰ったときは、確かに日本人特有の黒髪だった。でも今日は違う。そこにあるのは艶やかな金髪。関西選抜のFWを思わせるほどの明るさだった。



「な、なにしてんだ!?」

「何してんだって・・・髪染めただけだけど?」

「だけってお前・・・校則完全無視じゃねぇか!」

「大丈夫大丈夫v先生なんて怖くないわよ」



いや、怖いとか怖くないとかの問題じゃなくて・・・。だいたいいつ染めたんだ?っていうか俺達まだ中2だぞ。先輩の目とか高校受験とか内申書とか、いろいろ問題あるだろうが。

俺の心配とは裏腹に、はすっかり髪の毛が気に入っているようで、自慢げにいじっている。

周りの友達もそんなを羨ましそうに見つめ、いいなぁときれいな髪色を褒めていた。

おい、なんでそんな素直に受け入れられるんだ?俺みたいな心配ごとがあるだろ。俺だけか?こんな心配してんの。

なんか損した気分になってくる。これは先生にこっぴどく怒られるぞ・・・。



「ちょっと一馬ー!せっかく彼女が髪染めたのに無反応はないでしょ?ちょっとは褒めてよ」

「褒めるっていうか・・・あっけにとられて・・・。っていうかよく親が許したな」

「許してないわよ?勝手に染めたから」

「はぁ!?」

「お母さんは泣いてたわぁー」



おいおい・・・。親泣かせるなよ!っていうか許可ぐらい得てから染めろよ!どんだけ大人に嫌われたら気が済むんだ?

だんだん俺が親みたいな気分になってきた。のお母さんもこんな気分だったんだろうな。

ちょっとした親心を味わっていると、チャイムが鳴った。朝のHRが始まる合図だ。

名残惜しそうにみんなは自分の席に着いていく。そして、しばらくしてから担任の教師が入ってきた。



「はい、おはようご・・・・・・・・・・・・」



やっぱり。固まってるじゃねぇか。こりゃ先生の口からビシッと言ってもらわないと示しがつかないよな。



・・・・」

「はい?」



あーあ。怒られるぞ、朝から・・・;



「よく染まってるなぁ、その髪」

「そうなんですよぉ♪結構時間かけてみたんです」



おいおいおいおいちょっと待て!なんだこの学校!?俺だけか?まともなのは俺だけなのか?っていうか俺が間違ってるのか!?

本来ならば怒るはずの先生までもがの髪を褒めちぎっている。教室はいつもの通り、なごやかな雰囲気だ。

そして先生はいつも通り出欠をとり、いつも通り今日の予定を伝えて教室を出て行った。

なぁ、こんなんでいいのか?そんなさらっと流していい問題じゃないだろ。ってかなんで問題にすらならないんだよ。



「一馬?どうしたの?元気ないね」

「元気ないっていうか・・・なんでの髪の毛について誰もびっくりしないんだ?」

「髪染めるくらい今時の中学生なら誰でもやってるでしょ」

「それでも校則違反だろ?」

「でも先生にはなんにも言われなかったし・・・・一馬が気にしすぎなんじゃないの?」



俺が気にしすぎなのか?それとも周りが気にしなさすぎなのか?だんだんわからなくなってきた。俺って神経質すぎる?

今日英士と結人に聞いてみよ。まぁ結人はもとから色素薄いから別になんとも思わないんだろうけど。



「一馬ももっと自由に生きなきゃ!どう?今度染めてみない?」

「遠慮しとく・・・・」

「なんで!だってサッカー選手でも染めてる人いるんでしょ?目立っていいじゃない♪」

「髪型で目立ってもしょうがないだろ!」



プレーで目立たないと意味無いしな。それよりの髪の毛だよ。一生そのままなのか?受験とかマジでどうすんだ?



「なぁ、。高校受験のときとかどうすんだ?」

「はぁ?」

「いや、だから黒く戻さないとダメだろ?」

「なに言ってんの一馬。まさかずっとこのままでいるとか思ってるわけじゃないでしょうね」



うっ・・・図星;あぁ思ってるよ。思ってるけどそれが普通だろうが!



「これはね、1日だけだよ。今日シャンプーしたらすぐ落ちるんだって」

「・・・・・・・・・・・・・え?」



1日だけ?ということは、つまり俺が心配してたことは・・・・。



「取り越し苦労?」

「やっぱりねーそうだと思った」



はしょうがないなーといった感じで笑いながら俺の肩を叩いた。

そーかそーか。心配して損した。今の若者って・・・・・(遠い目)



「だ・か・らv一馬も今日染めてあげるね♪」

「はぁ!?俺も!?」

「いいじゃない1日ぐらいv明日休みだし、選抜のみんなに一味違う一馬を見せてやろうよv」

「ちょ、ちょっと待って・・・」

「はい決定!」



こうして俺の髪の毛は赤く染められ、翌日選抜のみんなにバカにされたのは言うまでもない。
















復帰第1作目がこれ・・・・;スランプの真っ只中です;

花月