どんなに忙しくても
どんなに遠く離れていても
心はいつも傍にいる
そんな貴方が
大好きです
ホワイト誕生日
三上亮。サッカーの名門、武蔵森学園中等部の司令塔。そんな彼は私の最愛の人。
そして1月22日。この日はそんな亮の記念すべき誕生日なのでありました。
今日は1月21日、誕生日イブ。でも、武蔵森サッカー部はそんなこと関係なしに練習が行われていた。
高い高いサッカー部のフェンス越しに見る亮の姿はかっこよくて、また一人で頬を赤らめる。
この姿に惚れて私は亮に告白した。放課後遅くまで練習している努力家。でも、それを人に悟らせない。そんな彼に心を奪われた。
しばらくして、選手達が集合する。そして監督がなにやら指示を与え、その後すぐに解散の声がかかった。
ようやく終わった!これで亮もこっちに来てくれる。
「あき・・・」
「三上せんぱぁいvvvv」
私が声をかけようとすると、亮に何十人もの女子生徒が駆け寄っていった。その波に押し流され、私はどんどん後ろへ。亮とは遠く離されてしまった。
「三上先輩、これ誕生日プレゼントですvv」
「これは私からーvv」
「あ、ずるーい!私が先に渡すのーv」
キャーキャーと黄色い悲鳴を上げながら亮は困り果てた顔をしてため息をついた。私もとりあえず亮の名を呼んでみたけど、全然ダメ。まったく聞こえていなかった。
しょうがない。悲しいけど、後でメール送ろう。そこでプレゼント渡そう。
明日はサッカー部お休みだから、誕生日デートをすることが決まっている。その時に渡してもいいんだけど、やっぱり食べ物だし、今日中に渡したい。
こんな調子じゃムリかなぁ・・・。
綺麗に包装されたプレゼントをもって、私はおとなしく寮に戻った。
同室であり、親友でもあるに今日の夜、寮を抜け出すことを話しておいた。すると、快く頑張ってとの応援をもらう。
ありがとう、。やっぱり最高だよ、君は!
時刻は午後8時。そろそろ電話しても大丈夫かな。
バックからケータイを取り出してそのまま亮にかける。しばらく呼び出し音があったあと、亮の低い声が聞こえてきた。
「あ、もしもし亮!?」
『、どうした?』
「あ、あの・・実は・・・」
「あ、悪ぃ!寮母さんが呼んでるみてぇだから一回切るな!また後でかけるから」
じゃあ、と亮の電話は切れた。
きられた・・・・きられた・・・・きられた・・・・。これでもう合うことも叶わない。せっかく一生懸命作ったのに。
「今日中に渡したいのにぃ・・・」
涙目になりながら、私はプレゼントを抱きしめた。早く会って、これを渡したい。そうしないと私の思いと一緒に潰えてしまうような気がした。
さらに時は流れて、午後11時50分。に慰められながらフテ寝していた私は、ケータイの着信音で目を覚ました。
画面には亮の文字。私はルンルン気分で通話ボタンを押した。
「亮!?」
『、悪ぃな。時間かかっちまって』
「ううん、大丈夫!それより亮、今外出られる?」
『外?出られっけど?』
「じゃあ男子寮のところで待ってて!すぐ行くから!」
今度は私が電話を切り、何も着ずにプレゼントだけを持って部屋を飛び出した。
外は雪。朝よりも降ってないけど、それでも冷たい。
転ばないように注意しながら私は走った。男子寮へと。
「!」
亮が私の姿を見て声をあげる。息を切らして亮の前へたどり着くと、私は笑顔で亮に抱きついた。
「亮!お待たせ!」
「お待たせって、お前・・・なんでこんなに薄着なんだよ!?」
「急いでたから!それより亮、コレ!」
私はちょっとくしゃくしゃになったプレゼントの箱を手渡した。私の手作り。気に入ってくれるかわからないけど、今日中に渡せてよかったv
「ありがとな」
「亮のためだもんv開けてみて」
丁寧に包み紙を開いて中のものを見る。そこには手作りのプリンが二つ入っていた。
「こっちのプリンが私で、こっちのプリンが亮!」
「そっか。マジうまそう」
亮は箱を閉じてもう一度私を抱きしめる。薄着の私に亮の体温は暖かかった。
「ありがとな、・・・」
「あ、亮見て!」
亮と一緒に振り返ると、そこには学校の時計台。その時刻はちょうど12時をさしていた。
「お誕生日おめでとう、亮」
「おう、ありがと」
雪の降る中、私たちは優しいキスをした。
ホワイトクリスマスならぬ、ホワイト誕生日。こういう日も幻想的で悪くない。
また来年も二人で誕生日過ごせるといいね、亮。
雪の白さが、より一層まぶしく見えた。