たった一日だけで










いろんな君の姿が見れて










いろんな君の笑顔が見れて










すごく嬉しかった















































































二人のしあわせ





































































とある日曜日。駅の中央広場。神木なんて呼ばれてる木に寄りかかりながら、俺はある人物を待っていた。

「一馬ー!」

元気な声と共にこっちへ駆け寄ってくる少女。。俺の待ち人であり、愛しい彼女。

今日はとのデート。1週間前からずっと二人で予定を立ててきた、大事な日だ。

「ごめんね、遅れちゃって;」

「いいよ、俺も今来たとこだし」

本当は30分前から来てたんだけどな。なんかかっこ悪いから、そこは秘密。

それじゃいこっか、とが手をつないでくる。その手を自然とつなぎ返して、俺達は日曜日の人ごみに飛び込んでいった。

まず最初は映画。この前、どこに行こうか結人と英士に相談してたら、椎名が教えてくれた。デートの基本は映画らしい。本当かどうかわかんねぇけど、椎名が言うとマジっぽく聞こえる。

入り口にあるポスターで、どの映画にするか決めていると真っ二つに意見が割れた。


は純愛もののラブストーリー。俺は最新のスポーツ映画。ちなみに、サッカーもの。

「だってここ見て!ホラ、松たか子主演だよ?絶対泣けるから!」

「なんでわざわざ他人の恋愛事情で泣かなきゃいけねぇんだ?こっちの方が絶対面白い!」

「恋愛!」

「スポーツ!」

互いににらみ合うこと約5分。ついに、が一つの提案を出した。意見が割れたときに使う、定番といえば・・・。

「「最初はグー!ジャンケンポン!」」

歓喜の声をあげる。敗者の哀愁を漂わせる俺。結局、が見たがっていた純愛もののラブストーリーをみることになった。

チケットを買って、パンフレットを見ているとストーリー設定だけで、もう涙を誘う。こんなの見て何がおもしろいんだかよくわかんねぇけど、が見たがってるならそれでもいい。ジャンケンにも負けたことだし。

中に入って、一番良い席を陣取る。もちろん、片手にはさっき買ったポップコーンとジュース。これで準備は完璧だ。

ベルが鳴って映画が始まると、隣からはすぐにすすり泣く声が聞こえてきた。おいおい早いだろ。ってか俺全然ストーリーが理解できない。

なんで別れるんだ?こいつら。好きなら付き合っとけばいいじゃん。大人の恋ってよくわかんねぇ。

ふと、右手に感じるぬくもり。見れば、が涙を拭いながら俺の手をしっかり掴んでいた。

普段もう慣れていることなのに、なぜか妙にドキドキする。それから先、俺の頭の中から完全に映画のことは消え去った。隣にいるのことばかりが気になってしょうがない。

俺達はあんなふうにならないよな。好き合ってるのに別れるなんて、そんな悲しいことしないよな。

の手の上に、そっと自分の手をのせる。一瞬が俺を見たような気がしたけど、しばらくするとまたすすり泣きが聞こえてきた。

大丈夫。俺達はこんな映画よりももっともっと良い恋愛をしてみせる。は俺が幸せにしてやる。

映画館での、小さな誓いだった。


































































「あー泣けた!もうホントに感動したー!!」

「そうか?俺にはよくわかんなかったけど」

「だからかじゅまはヘタレって言われるんだよ!」

「かじゅまっていうな!」

「あ、ヘタレは否定しないんだ」

「・・・・・・」

映画も見終わって、ちょうど昼時。マックに入って昼食をとっている最中は、ずっとさっきの映画の話で盛り上がっていた。いや、たぶん一人で興奮してる感じだったけど。

「なんであの二人はお互いにまだ好きなのに別れるんだ?」

「これだからお子様は」

「っ!じゃあにはわかったのかよ!」

「それは・・・・当然ワカッタワヨ」

「なんでカタコトなんだよ。眼を見て言えって」

「あ、次どこ行こうか」

「話題変えんな!」

さらりと会話を流して、ポテトをつまむ。どうやらもわかってなかったみたいだ。俺達にはまだ早かったらしい。それなら、あのスポーツ映画見たかった。

次に向かうは、新しくできたらしい洋服店。その隣にスポーツショップがあるらしいから、そこにも寄ることになった。

店には女の人がたくさんいて、明らかに俺は場違い。だけど、がすっごく楽しそうに服を見てるからその笑顔が見れただけで、嬉しかった。

にしても居づらいことこの上ないな。周りは女の人ばっかりだし、店員さんもみんな女の人だし、男の人もいるけど、付き添いっぽいし。あぁ、俺も付き添いか。

「一馬ー!」

奥の試着室からが俺を呼ぶ。服がたくさんあって歩きにくい店内をできるだけ急いでそっちへ向かうと、急にカーテンが開いた。

「ジャーン♪」

「っ・・・////」

か、可愛い///!なんでそんなの着るんだよ。俺としては嬉しい限りだけど、他の男が言い寄ってきたりなんかしたら・・!←マイナス思考

「ねぇ、ご感想は?」

「え、あ・・・えっと・・・・//」

あまりの可愛さに、俺は口を押さえてただうろたえているだけ。それが気に食わなかったのか、はがっかりした顔をしてきている服を眺めていた。

違う!決して似合わないとかじゃなくて、可愛いから気の利いた感想が思い浮かばなくて・・!あぁ、脱ぐな!すっげー似合ってるから!!!

!!」

「うわぁ!?いきなり叫ばないでよ」

「あ、その・・・すっごく似合ってる////」

もっといい言葉が思いつけばいいんだけど、生憎おれのボキャブラリーなんてこの程度。自分の能力の低さに呆れた。

それでもはありがとう!とにっこり笑う。その笑顔のほうが、どんな服よりもずっと可愛いなんてこと、恥ずかしくて言えなかったけど、確かにそれは本当のことだった。

はその服を買って、俺達は店を出た。最初は居心地が悪かったけど、のあんな可愛い姿が見られるんなら、また来てもいいかもな。

次は隣のスポーツショップ。ちょうど新しいスパイクとソックスが欲しかったから、運が良かった。

店内は2階建てで、中も広い。いろいろなグッズも売っていた。ここならいい品が見つかりそうだ。もそれなりにサッカーの知識があるから、一緒に探せるし。

「あ、このスパイクいいかも」

「かっこいいじゃん!履いてみたら?」

の勧めで履いてみると、サイズもぴったり。足にしっくりくる感じで、かなり気に入った。デザインも好みらしい。

ただ、俺にはもう一つ気になるスパイクがあった。さて、どっちにしようか・・・。

そうだ。ここはに決めてもらおう。



「なに?」

「こっちとこっちなら、どっちがいい?」

どっちも足にはフィットしてるから、デザインの問題。こういうのだったら、のほうがセンスが良かった。

はうーん・・・と悩んで、あらゆる角度から両方のスパイクを見ている。こうしてみると、専門家みたいでちょっとかっこよかった。

「決めた!」

「おぉ!で、どっちだ?」

「一馬、目ぇ瞑って」

「え?」


「いいから、早く」

言われたとおりに眼を瞑る。そして、が後ろへと回ったのがわかった。

「右と左、どっちがいい?」

「えっと、右」

「はい!決定〜」

えぇ!?それじゃあに頼んだ意味がないじゃんか。だけど、当の本人はえらくご満悦。なんでだろ。

俺が選んだのは最初のスパイクだった。それを買ったら、店のおじさんがソックスもおまけしてくれた。ありがとう、おじさん。この店は贔屓にするよ。

「よかったね!一馬。いいスパイクが買えて」

「あぁ。だけど、あれ結局は俺が決めたことになるんじゃ・・・」

「違うよ?私が決めたの」

「どういう意味?」

「だって、私が決めたのを一馬が選んだんだもん」

あぁ、それでこんなに機嫌がいいんだな。納得。なんか、こういうのもすごくいいと思う。以心伝心?ちょっと違うか。まぁ、そんな感じで。

デートも終盤。俺はを家まで送り届ける。その道は、ずっと今日のことで話題が持ちきりだった。

映画とか、ショッピングとか、楽しいことばかりだった。が彼女で本当に良かったと、心のそこから思える。楽しい一日だった。

「それじゃあまたね、一馬」

「おう。またな」

「あ!忘れてた」

玄関の門越しに話していたは、突然門にから身体を突き出し、キスをしてきた。

「///・・・不意打ちだろ//」

「アハハ!顔真っ赤!」

「うるせぇよ//」

「それじゃあ、またデートしようね!」

「あぁ、また」

笑顔で手を振り、家の中に入っていくを見届けて、俺も自分の家へと帰る。

唇の感触が蘇ってきて、また顔を赤く染めた。

また、デートしような。それで、今日よりもっともっと良い思い出、つくろう。



本日晴天、デート日和なり。











祝!一馬短編夢20作品突破!というわけで、前から書きたかったデート夢です。

記念なのに、駄文;;

花月