誰も本当の私なんて見てくれなかった











誰も私のこと必要としてくれなかった











生きても死んでも同じこと











それならいっそ











死んだほうが











世の中のためだと思った


















































































生きてる価値










































































何にもしていない私。

ただ学校行って、家に帰って、友達と遊んで。

それだけの人生。

そんな私の人生に、価値なんてあるのだろうか。

人間の値段なんてわからない。

生きてる価値なんてもっとわからないから。

私は死ぬことにした。



?」



死ぬと決めた次の日。

上手くいけば私の命日は今日になる。

これから家に帰って、以前から買い溜めていた睡眠薬を飲むつもり。

量は計算してあるから、きっと苦しまないで逝ける。

その前に、どうしても一馬の顔が見たくなった。

だから東京選抜の練習を終えた一馬を呼び出したのだ。

いつもいくファーストフード店。

二人ともジュースだけ頼んで、席についた。


から呼び出すなんて、珍しいな。なんかあったのか?」

「特に、何もないよ。ただ一馬の顔が見たかっただけ」



死ぬ前にね。

でもそんなこと、口に出せなかった。

迷惑かけたくなかった。

でも、気持ちは伝えたかった。

たくさんのありがとうと、ごめんなさいを。



「どうした?顔色悪いぞ。気分悪いのか?」

「ねぇ、一馬」

「なんだ?」

「私に生きてる価値、あると思う?」



一馬の顔が一瞬こわばった。

そりゃそうだろう。いきなりこんなこと言われたら。

でも。

私自身、もうどうすることもできない。

生きてる価値なんてわからない。

誰にも愛されてない。

何もしていない私。

価値なんて見いだせるはずもなかった。



「急にどうしたんだよ」

「ちょっと聞いてみたかっただけ」

「価値、かぁ。には価値あると思うけどな」

「どんな価値?」

「どんなって・・・」



答えを探して頭をめぐらせている一馬。

やっぱり答えられないじゃない。

私には価値なんてないから、答えられなくて当然だけど。

でも、少し寂しかった。



「わからない?私の価値」

「わかるよ」

「じゃあなに?」

はわからないのか?」

「私には・・・価値なんてないよ」

「俺にはあるけどな」

「・・・・どういう意味?」

「俺にとって、はすごく価値のある存在ってこと」



一馬にとって私は価値のある存在?

そんなことないでしょう?

誰も私に価値なんて感じてない。

いてもいなくても同じこと。



「俺はといると楽しいし、愛しく思ってる。がいなくなったらの中に価値を見いだしてる俺はいなくなるな」



私の中に価値を見いだしてる・・。

上手く一馬の言っていることがわからなかった。



「よくわかんない」

は俺が死んだら悲しいか?」

「当たり前じゃん」

「そしたら、俺はにとって価値のある存在ってこと。わかるか?」

「わかる」

「それと一緒だよ」

「つまり、一馬は私が死んだら悲しいってこと?」

「当たり前」



そっか。そうだったんだ。

私が死んだら悲しむ人がここにいる。

一馬にとって私が価値ある存在なら。

私も一馬のために生きていこう。



「一馬」

「ん?」

「愛してる」

「ははっ。俺もだよ」



その日。

私は帰って睡眠薬を全て捨てた。

そして思った。

私には価値がある。

この世の誰もがみんな価値ある存在。

価値のない人間なんていないのだから。


















私には生きてる価値ないです

花月