顔よし 家柄よし 成績よし











そんな私の唯一の欠点











それは











口が悪いってこと








































































ジェラートのように甘く






































































冬の気配がガンガン来てる今日この頃。私は、屋上へと呼び出されていた。

ったくこのくそ寒いのに、わざわざもっと寒くなるようなところへ呼び出してどういうつもりよ。

しかも名乗らないで。もしかして、呼び出し?あ、もう来てる時点で呼び出されてるから呼び出されかな。

イライラしながら私を呼び出した相手を待っていると、しばらくして建てつけの悪い屋上の扉が開いた。

「神崎くん・・・」

特に興味もないクラスメイトの名を呼ぶと、彼は堂々とこっちへ向かってきて、私の目の前に立った。

遅れてきたくせに謝りもしない。最悪だね、この人。

確かクラスの女子が騒いでたような気がする。この学校で2番目にかっこいい人だって。そうは見えないけど。

「来てくれて嬉しいよ、

おいコラ。いきなり呼び捨てで呼んでんじゃねぇよ。それに呼び出しといて来てくれたもなにもないだろ。

はい決定。こいつナルシスト。典型的なナル性質。

「それで、用事ってなに?」

「ハハっ!言わなくてもわかってるくせに」

わかんねぇよ。早く言え。

「僕と付き合って欲しいんだ!」

バックに無駄なバラが見えるけど、無視無視。ってか付き合って欲しい?なんかOKもらう気満々な顔してる。

やけにイライラするなぁ。寒いし、さっさと片付けときますか。

「可哀想に・・・」

「は?」

「こんな寒い日に屋上なんかに女の子呼び出しといた上に遅れてくるなんて、それだけでも頭おかしいから可哀想なのに、その上あんたごときが私と付き合えると思ってることが、浅はか過ぎて泣けてくるわ。しかもあんた、自分がかっこいいと思ってるでしょ?はっきり言ってそれはないから。自分だけだからそう思ってるの。少なくともこんなデリカシーのない奴と付き合うほど私暇じゃないし、ナルシストも嫌いなの。あんたみたいに自分のこともわからないような可哀想な人と付き合ってるくらいなら、いっそホストとでも付き合うわよ。あ、これはホストに失礼ね。訂正、犬とでも付き合ったほうがまだマシだわ。つまりあんたは私の中で犬以下、ううん、虫以下。わかったらさっさとその可哀想な頭抱えて帰るのね」

ノンブレスで一気に言い終えたあとは最高に気持ちいい。思ったとおり、神崎くんはフリーズ。

ご愁傷様。私を甘くみるからこうなるのよ。

神崎くんが逃げ帰ったところで、私はしばらく屋上にいることにした。寒さにも慣れたし、どうせ戻っても数学だからやる気起きないし。サボっちゃえ。

ところどころ塗料がはがれた柵に寄りかかると、グラウンドから街まで全部が見えた。とてもいい眺め。

冬の風に髪をなびかせていると、後ろからかすかな笑い声が聞こえた。

「誰!?」

てっきり一人だと思っていた私はびっくりして振り返る。すると入り口の上、つまり貯水タンクのところに綺麗な顔した少年が座っていた。

この人はたしか、椎名翼。学校で1番かっこいい人・・・だった気がする。なんでこんなとこにいるのよ。

「お前面白いな。告ってきた奴をあそこまでこてんぱんにするとはね」

綺麗な顔をにっこりと微笑ませて、彼は言う。私の身体が、言っていた。こいつには関わるなって。さもなくば・・・。

「別にあんたには関係ないでしょ。椎名翼君」

「翼でいいよ。俺もって呼ぶから」

決定かよ!まぁいいや。わかった。ね、。どうぞ名前で呼んでくださいな。

「じゃあ翼。何か用?」

「特に用はないけどね。もサボりだろ?なら一緒にサボらない?」

「なんであんたなんかと・・・」

「俺の誘いを断るわけ?あぁそう、ってそんなに失礼な奴だったんだ。パっと見、顔も綺麗だし頭も良さそうだからこんな失礼な奴だとは思わなかったよ。言っとくけど、俺のほうが先にここへ来てたんだからね。普通なら早くどっか行けって追い出されるところを、俺の広い心でここにいてもいいって言ってあげたんだよ?その心遣いも汲み取れないような奴なのか?じゃあさっき告ってきた奴のこと言えないじゃん。所詮は口だけの奴だったってことだね。残念だよ。わかったら一緒にサボるか、ここから出て行くか早く決めてよね。それでなくても貴重な時間を割いて説明してやってんだからさ。まぁもちろん、二回も俺の誘いを断るわけないだろうけど」

噂には聞いてたけど、マシンガントークってかなり利く。っていうか私が口で勝てないなんて初めて。

しばらく固まっていたあと、すんなりと貯水タンクのあるところに登って翼の隣に腰掛けた。

「それでよし」

「そうですか」

わかった。こうなるんだ、椎名翼に逆らうと。ついでにマシンガントークを食らうとこういう風な心理状態になるわけね。

もっと腕を磨かないと・・・・。(懲りない)

「どう?俺のマシンガントーク」

「・・・お手上げですよ」

のもなかなかすごいと思ったけどね」

「そりゃどーも」

「俺がせっかく話あわせてあげてんのに、テンション低いな。なんならもう一回・・・」

「結構です!いやー今日はすばらしい天気だよねー!!」

ムリにテンションあげてみたけど、やっぱりどこかぎこちない。

メモっとこう。マシンガントークは使う相手と場所、そしてアフターケアを考えること。

二人でしばらく黙って、街の景色を眺める。ついでに風も感じて目を閉じれば、究極の癒しが待っていた。

ふと、隣が気になってみてみたら翼もなんだか気持ち良さそうに前を見てる。その横顔にドキっとした。

「ねぇ、

「なに?」

「俺の誘い、もう二度と断らないよね?」

「え、あ・・・」

「よね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」

「じゃあ、俺と付き合って」

ん?今なんておっしゃいましたか?

「聞こえなかったの?俺と付き合ってって言ったんだけど」

「ちょ、ちょっと待って!なんでいきなり・・」

「いきなりじゃないよ。ずっと前からアピってたのに、が気付かなかっただけ」

はぁ!?ちょ、ちょ、ちょっと・・・本気!?まさかドッキリ!?

そりゃ私も翼のこといいなぁなんて思ってたけど、まさか翼もそう思ってたなんて・・。

嬉しいって言うか、びっくりの方が大きくてどうしようもない。

「答えは?」

「えっと・・・よろしくお願いします?」

「・・・・なんで疑問系なのさ」

「まだよく状況が飲み込めてない」

「じゃあ手っ取り早く教えてあげるよ」

翼は私の方に顔を向けて、やさしいキスをした。

ー」

マシンガントークよりもこっちのほうが私にとっては大ダメージ。

完全にフリーズしてしまった。

教訓。椎名翼に関わるな。さもなくば・・・。







逃げられなくなってしまう。