私がこの先生きて











一体何が変わるんだろう











私が死んで











一体何が変わるんだろう











どちらも一緒なら











いっそのこと











この命、絶ってしまおうか









































































心の痛み








































































痛いのなんて遠の昔に忘れてしまった。

幾度となく手首を切っても。

幾度となく血を流しても。

全く痛くない。

暗闇の部屋で考えることは、死に方ばかり。

どうやったら素直に死ねるか。

遺書はなんて書こうか。

その後に訪れる孤独感。そして、最後に目に浮かぶのは・・・。



「一馬」



消え入りそうな声でその名を呼んでみても、返事なんてない。

わかってる。私が死んでもなにも変わらないことくらい。

でも、これしか方法がないんだ。

真夜中。真っ暗な部屋で、私の目にチカチカと携帯のあかりが入り込んできた。

誰だろう、こんな時間に。

そっと携帯を開いてみると、そこにはさっき名前を呼んだ一馬の文字。

まるで私の呼びかけに応じているようなタイミングだった。



「もしもし?」

『あぁ、。起きてたか?』

「うん・・。どうしたの?こんな夜中に」

『いや、特に用はないんだけどさ。最近、学校行ってないんだって?』

「・・・・・・・・」



なにも言えなかった。

確かにこの1週間、一度も学校には行ってない。

だって私の居場所なんてどこにもないから。

別にいじめられているわけじゃない。

ハブられてるわけでもないけど。

ある日、プツンと糸が切れてしまったかのような無気力感に襲われた。

私が学校に行っても行かなくても、別に誰も困りはしない。

友だちはみんな心配するだろうけど、それもすぐに収まる。

それなら、私がいる意味ってなんなの?



「ねぇ、一馬」

『ん?』

「私が死んだら・・・泣く?」

『あ、当たり前だろ!なに言ってんだよ!』



そうだよね。私だって一馬が死んだら泣くもん。

でもさ、それだってずっと続くわけじゃないでしょ?

一馬ならまたすぐ新しい彼女ができて、私のことなんて忘れるだろうから。

それなら、一時の感情なんて。

慰めなんていらない。

それなら思いっきり突き放してよ。

そのほうが――死にやすい。



・・・お前今何考えてる?』



本当のことを言おうか言うまいか悩んだ。

どうやって死のうか考えてるなんていったら、きっと一馬は引いてしまう。

今、一馬の声だけが私をこの世にとどめていた。



『本当のこと、言ってくれよ。俺でよければ力になるからさ』

「じゃあ一馬。私のこと・・・殺せる?」



電話越しでも一馬が言葉を失ったことくらい、すぐわかった。

でも冗談を言ってるつもりはない。全部本気。

もし、一馬が私を殺してくれるのなら、きっと天国へいける。

愛する人に殺されるのなら、本望だから。

ねぇ、私を――























































































殺してよ





























































































しばらくの沈黙が流れる。

引いちゃった?でもなんかもうどうでもいいや。

誰もいない空間。

ここで本当の一人になっても、痛くもかゆくもない。

また暗闇が深くなるだけ。

ただ、それだけのこと。



『・・・わけないだろ』

「え?」

『殺せるわけないだろ!』



急に怒鳴り声を上げられ、今度はこっちがびっくりしてしまう。

一馬が怒るなんて、これが始めて。

ましてや怒鳴られたことなんて一度もない。

頭を何かで殴られた感覚に陥った。



。お前がもし死のうとしてるんなら、条件がある』

「・・・・・なに?」

と一緒に俺も死ぬ』

「なっ!」



何を言っているのか一瞬理解ができなかった。

一馬が死ぬ?そんなの嫌だ。

私が死んでも誰も困らないけど、一馬が死んだら困る人がたくさんいる。

結人君や英士君だって、一馬のお母さんやお父さんだって、東京選抜のみんなだって、きっと悲しむ。

一馬はまだいなくなっちゃいけない人なんだ。



『そんなのダメって言いたいか?』

「当たり前でしょ!?私なんかの所為で死んだらみんな悲しむよ!」

『俺はのいない世界なんて考えられないし、が死んだら俺は一生後悔し続ける』

「一馬・・・」

『俺のために――生きてくれないか?』



一気に涙が流れ出した。

ここまで私を想ってくれる人がいる。

それだけで、私の『生』は輝いていける気がした。

一馬が私のために生きるなら、私も一馬のために生きていこう。

ちっぽけな光が私には太陽の輝きにさえ思えた。



「ありがと、一馬」

『俺のほうこそ、生きていてくれてありがとう』



涙で声にならなかったけど、そこには確かに存在した。

愛なんて信じてなかったけど、今やっとわかる。



愛の意味――




















私もこんなこと言われてみたいです

花月