何がいいのかなんてわからなくて
どれがいいのかなんて知らなくて
でも答えは
こんなに近くにあった
この世で一番
私にとって初めてできた好きな人。その人は私の彼氏になった。
愛しくて愛しくて、会えないと寂しくて、一緒にいるときはとっても幸せ。
そんな彼氏の――亮の誕生日が近づいてきた。冬も本格的になってきた1月のある日。私は亮の部屋で一人悩んでいた。
亮に聞くのが一番手っ取り早いんだろうけど、それだとなんかありきたり?すぎて嫌だし、かといって変なものあげたら嫌われちゃうだろうし・・・。どうしたらいいんだろ。
寮の部屋でサッカー雑誌を見ている亮の横顔を見る。あぁ、やっぱりかっこいいなぁ。それに加えてさりげなく優しい。そんなところが大好きだった。
「?」
「え!?な、なに?」
「何って・・・・なんで人の顔じっと見てんだよ」
「えーっとそれは・・・あんまり気にしないで!」
「なら気にしねぇけど・・・。なんか変だな」
「そ、そう?;」
「ま、いっか」
「うん、いいよ。いいよ」
危ない;バレるところだった。
本当に何にしよう。亮のことだから、他の女の子たちからもたくさんプレゼントもらうんだろうなぁ。だったら彼女らしく、一番いいプレゼントあげないと。
チョコレートとか?でも亮は甘いもの嫌いだし。あ、でも一回プリン食べてるとこ見た!プリンにしようか。
「亮」
「ん?」
「プリンとか、好き?」
「食えなくはねぇけど、好きってわけでもねぇな」
「そっか・・・・」
好きじゃないんだ。じゃあ手作りはダメね。あとは何があるだろうか。アクセサリーとか、ストラップ?何か身につけてもらう系のものがいいかな。
「亮」
「ん?」
「アクセサリーとかはつける?」
「つけなくはねぇけど、好き好んでつけることもねぇな」
そうなんだ・・・。ってか亮。ここまでプレゼントで困る回答はないと思うよ?初めてだから何あげていいのかまったく検討つかないし・・・。
アクセサリーもダメ。手作りのものもダメ。となると残りはなにがある?あとは・・・ちょっと待った。怖い想像しちゃったよ。
それはなしでしょ?うん、亮もきっと喜ばないよ。
「」
「は、はい!?」
「何一人で赤くなってんだ?」
「あ、あ、あ、赤くなってなんて、な、ないよ!?」
(どもりすぎ;)
急に亮が話しかけてきたから、どもっちゃったよ!亮もなんか呆れた顔してるし。
嫌われちゃったかなぁ・・・。
「、なんかあるのか?」
「なんかって?」
「悩んでるみたいだったから」
さすが亮。細かいところまで気付いてくれる。こうなったらしょうがない。正直に言っちゃおうか。
「あのさ、亮・・・」
「ん?」
「誕生日のプレゼント・・・何がいい?」
言っちゃった。ついに言っちゃった。聞いちゃったよ。呆れられちゃうかな・・・・。どうして私はいつも、こうダメなんだろう。
と、その時。私の身体はぬくもりを感じた。それが抱きしめられているとわかるのに、少し時間がかかった。
「あ、亮!?」
「そんなことで悩んでたのか。」
「だって・・・」
「あのなぁ。俺はが傍にいてくれるだけで充分だぜ?」
「亮・・・・」
「だから俺の誕生日ん時は、一緒にいてくれ。な?」
「うん!」
大好きな人と一緒にいられることが最高のプレゼントだなんて、全然思いつかなかった。
私と亮の愛は、本物。
私からのこの愛が、亮へのプレゼント。
この世で一番のプレゼント