隣にいた
いつもここにいた
それなのに
どこへ消えてしまったの?
早く会いたいの
今すぐに・・・
幻 - マ ボ ロ シ -
雨の日曜日。
憂鬱な気持ちを雨に重ねてみる。
前はそんなに嫌いではなかったのに。
こんなことになったのも、全部あの人の所為。
まだ捨てられない写真たてに笑っている、あの人の所為なの。
窓から机の上に視線を移して、動かないあの人を見つめてみる。
今頃、その素敵な笑顔を誰に向けているのだろう。
私に触れたその大きな手で誰に触れるのだろう。
大好きだった。これから先もずっと大好きでいられると思ってた。
それなのに、あの人は私の傍から離れていった。
雨につられて私の頬にも雫が流れる。
あの人はもう、ここにはいない。
隣には誰もいてくれない。
あの人――功刀一の笑顔が頭をよぎった。
雨と一緒に流れてはくれなかった。
あなたは言ったじゃない。ずっと愛し続けると。
その言葉は嘘だったの?
あなたと一緒にいたら、世界一幸せに思えた。
これ以上なにも望まないから、このときがずっと続けばいいと思ってた。
愛しいときは流れて、悲しい季節が訪れる。
春は出会いの季節だとあなたは言っていたけど。
それは違うよね。
春は別れの季節。
現に、私とあなたは別れてしまった。
別々の道に進んでしまった。
あんなに愛していたのに、あんなに傍にいたのに。
どうしてこうなってしまったの?
私が悪かったの?それともあなた?
ねぇ、カズ。
まだ・・・会いたいよ。
あなたの声がまだ聞こえてくるの。
あなたの笑顔がまだ蘇ってくるの。
あなたのぬくもりをまだ覚えているの。
現実ではないことはわかってる。でも、それは確かにここにあるのに。
現実にさせてくれないのは、やっぱりあなたの所為なのね。
何度も忘れようとしたのに、あなたはそれを許さない。
忘れるにはあまりにも一緒にいすぎた。
私の心はあなたで染まってしまったの。
泣いても泣いても、あなたは私の心の中にいる。
息ができないほど、この想いがあふれてくるの。
別れを告げられたとき。
私は何も言わなかった。
そのあと私が流した涙の数を、知ってる?
知らないでしょうね。当たり前。
だって、知られないようにしたもの。
強がって、平気なフリをして、かっこいい女を演じた。
そのことに、あなたは気付いているのかしら。
もし、あなたがこのことを知ったときどんなことを思うのだろう。
罪悪感?それとも別の感情?
どちらにしろ、私をもう一度好きになることなんて・・・。
もう、ないのでしょう?
会いたい。
会いたいの。
これほどまでに会いたいのに。
もう一度愛して欲しい。
もう一度抱きしめて欲しい。
この願いは二度と叶わない。
他の誰かと付き合っていても、胸にはいつもあなたがいる。
お願いだから私の中から出て行って。
愛していたから。
世界中の誰よりも愛しているのに。
忘れさせてください。
あなただけを愛すのは疲れてしまった。
カズ・・・愛しているから――
久しぶりのカズ夢。カズ夢といえるのか・・?
花月
