私達の関係は












きっとこれから築かれていく















































未来進行形











































「「あ。」」









人の少ないコンビニ内に響き渡るくらいに発せられた声。

1つは勿論私のもの。もう1つは凄く意外な、予想だにしなかったあの人のもので。

・・・それは向こうもきっと同じなんだろうけど。






でも私の方がきっと戸惑いが大きいと思う。






「久しぶり・・・元気だったか?」






あの頃よりも低くなった声が私の心にじんわりと心地よく染み込んでいく。



まさか中学の頃に片思いしていた、真田くんに会うなんて・・・――
































少し話さねぇ?と、誘いを受けた私はそのまま彼に付いて近くの公園へと向かった。



二人で肩を並べて歩く日が来るなんて思いもしなかった。

不覚にもドキドキする。

チラリと隣を盗み見ると、中学の頃よりも背が伸びて肩幅も広くなった彼がいる。

女である自分と比べてみて、男の子なんだなと改めて意識した。

うん、高校の制服も凄く似合ってる。





・・・あの頃の彼は近寄りがたい雰囲気を放っていて、カッコいい容姿とは反して人付き合いは苦手らしかった。

誰かが彼に話し掛けているのを見たことがあったけど、その時の彼の対応は凄く素っ気無かったんだよね。

そんな真田くんと話すようになったのは、中3の頃に席が隣になったのがきかっけだった。

最初はぎこちなかったけど、サッカーが大好きな私は真田くんとすぐに意気投合した。

彼がU−15だと知ったのもその時だ。

サッカーや仲間の事を楽しそうに語る彼を見ていくうちに、私の心は次第に惹かれていった。

・・・これが恋だと気づくのは時間の問題だった。











「ここに座ろうぜ。」


「うん。」




ああ、もう公園に着いてしまったのか。

ベンチに座ろうと促されてそのまま二人で腰を下ろした。


遊具で遊ぶ子供達の声が無機質に響く。





「ホント・・・久しぶりだな。」



「そうだね。卒業式以来?」



「もう1年以上たつのか・・・
 でも、全然変わってないよな。」



「何それー!お世辞でも『可愛くなった』とか言ってよ!」






久しぶりに二人で声を出して笑い合った。






他愛無い会話を続けていると、ふと、友達が言っていた言葉が頭を巡った。




『真田くんね、高校で凄くモテてるらしいよ。笑う事が多くなったんだって。』









ツキンと胸が僅かに痛んだ。

心を抉るように何とも言えない虚無感が頭を支配する。

高校の女の子達の前でどんな笑顔で笑うんだろう。どんな話をするんだろう。



きっとそれは私の知らない彼の一面。



体はこんなにも近いのに、心は遥か遠い所にあるように感じた。











「・・・真田くんは・・・変わったね。」






自然と言葉が溢れ出す。






「高校で女の子達から凄く人気があるって聞いたし、背もこんなに高くなってるし。
 知らないうちにこんなに変わった真田くんがいる。」




「・・・。」
 




「置いていかれたみたいで少し・・・寂しいかな、なんて。」






・・・」





「・・・あー、気にしないで!私の悪い癖。すぐに昔と比べようとしちゃうんだよね。
 あの頃と変わってても真田くんは真田くんだし。」








彼の視線と沈黙が痛い。

どうすればいいのか分からなくなった私はそのまま俯いた。

駄々を捏ねる子供みたい。「寂しい」だなんて。

もしかすると呆れられたかもしれない。

・・・情けない。修正の利くような言葉さえ思いつかない。









「・・・俺は変わってねぇよ。」





「そんなこと・・・」








彼がスゥと息を吸う音が聞こえた。

そして深呼吸をするようにゆっくりと息を吐き、言葉を紡いだ。













を想う気持ちは 変わってない。」














 ・・・え?










思わず顔を上げて彼を見た。



・・・そこには顔を赤くして私を見つめる真田くんがいる。







ああ・・・『あの頃の真田くん』だ・・・














「気持ちを伝える勇気が無くて、結局そのまま卒業してしまって・・・気持ちをズルズル引きずってた。
 忘れようと思っても無理だったよ。
 卒業式でお前の後姿を目で追う事しか出来なかった自分を凄く後悔したんだ。
 あんな思いはもうしたくない。今なら言える。

 、好きだ。」











夢みたい・・・




何て言えばいいのだろう。


・・・いや何でもいい、とにかく自分の気持ちを伝えないと。


ああもう、頭の中が混乱して思考回路が機能しない。


震える唇をこじ開けて言葉を繋いだ。








「・・・私もずっと、っ好きだった・・・!」








その言葉を聞いて、真田くんは目をさっきよりも見開いた。

照れているのか、耳まで真っ赤だ。



そんなところはあの頃と全く変わってない。

ああ、この不器用さはやっぱり『真田くん』だ・・・―――







彼の様子に思わず噴き出す。








「・・・笑うなよ。
 ていうか俺達ずっと一緒の気持ちだったんだな。
 この2年がすっげぇ勿体無いよなー。」





「・・・勿体無くなんてないよ。」










子供みたいな事を言う彼に思わず笑みが零れる。




今までの空白の時間をゆっくりと埋めていく時間はたくさんある。


もう嘗てのように焦る必要も無い。




だって二人の思いは今、交わったのだから。


















「・・・帰ろうぜ。送ってくよ。」










照れを隠すための彼の素っ気無い振る舞いが、なんだか温かくて可愛く思えた。


変わってもやっぱり真田くんは真田くんだ。


苦笑しつつ、差し出された手をとった。



その瞬間、ぐいっと体を引き寄せられ、耳元で囁かれた。












『・・・これからもよろしくな。』



























  これから歩んでいく未来には






  きっと隣に君がいる




























                                 ― end ―






























■ あとがき ■

如月花月さんの誕生日記念ドリームです。如月さん、誕生日おめでとうございます!

こんな萌えないごみを書いてしまいました。(いらねー

「甘い夢かほのぼの系」というリクだったんですが・・・撃沈。

最初の方はシリアスチックになってしまいました。(笑、えない

すみませんでした・・・ぐふぅっ(吐血




神野さま!こんなに素晴らしい誕生日プレゼントをありがとうございました!

本当に嬉しいですvもう家宝です!

いえ、私のリクエストにぴったりの作品で、本当に感動しております!

これからもよろしくおねがいしますね!

如月花月