夏は暑い











暑いと薄着になる











それはごく当たり前の原理












でもあいつは











その危険さをまだ知らない
















































































夏服



















































































早いもので、もう5月も終わり。もうすぐ夏がやってくる。

そうなると、当然気温が上がってくるわけで。街の人たちもどんどん薄着になっていくわけで。

いや、それは当たり前のことなんだけど、最近の若者はどうもその薄着が薄着すぎて目のやり場に困る。

こういうと俺が年寄りと思われるかもしれねぇけど、立派な十代だ。たまに親友にはオヤジくさいとか言われるけど、俺はただ世間一般のことを言っているに過ぎない。

今日は真夏並みに気温が高いから、半そでの人がほとんど。俺だって半そで。

さっきも、ギャルっぽい人たちが水着と大差ない服を着て歩いてた。おいおいここはビーチか!?とツッコミを入れてしまいそうになるのを押さえるのに必死だ。

高校に入って初めての夏服は、結構涼しかった。ネクタイがウザいけど、そんなの学校終わったら緩めればいいだけの話しだし。

というか、もう学校は終わったから緩めてるんだけどな。今日は中学校から付き合ってる彼女のと制服デートだから、学校が終わったらすぐに出てきた。

いつも待ち合わせ場所にしてる時計台には、俺と同じ待ち人を待っている人がたくさんあふれている。

クールビズのサラリーマンもいるけど、ほとんどが学生、というか若い人だ。

そういえば、俺が夏服になったってことはも夏服になったってことだよな。たぶん。

とは高校が違うから、当然制服も違う。

どんな夏服なのか、楽しみだ。あ、言っとくけど俺は制服マニアでもむっつりでもないからな。

待ち合わせ時間まであと5分。そろそろがくるころだな、と前を見たら見慣れた顔がこっちへと向かってきた。

紺のスカートに半そでのワイシャツ。そしてラインの入った赤いリボン。都内でも制服が可愛いことで有名な学校だから、やっぱり夏服も可愛かった。



「ごめん一馬!待った?」

「いや、さっききたと・・こ・・・・?」



あれ?ちょっと待て。さっきは遠くてわからなかったけど、この夏服かなりやばくないか?

これまですれ違ってきた制服の女の人は全員ベストを着てたけど、はそれを着ていない。

イコール、下着が透けてる!!!



「一馬?どうしたの?」

「え!?あ、いや・・な、な、なんでもねぇよ!」



落ち着け、俺!なんでどもってんだよ。これじゃあまるでスケベオヤジじゃねぇか。

透けてるっていても色くらいしかわかんねぇし、なんどもみてきてるから大丈夫・・・って何言ってんだよ俺はぁぁ!!



「一馬、ホントに大丈夫?なんか挙動不審だよ?」

「そ、そ、そ、そんなことねぇよ!とりあえず、どっか入ろうぜ」



ここだと一目につく。もし本物のエロオヤジがの制服に目をつけて、俺のいない間に声かけてきたら厄介だ。

そんなわけで、俺たちは行きつけのレストラン(学生の味方 サイ〇リア)に場所を移した。あそこなら若い人が多いし、狙われるようなことはないだろう。少なくともエロオヤジには。

学校帰りということで、やっぱり結構学生服の客が多い。いや、普段から学生の味方であるここサイゼリ〇は若者たちのたまり場となっている。

すんなりと席に案内されて、とりあえずドリンクバーとドルチェを頼む。俺は健康のために野菜ジュース。(これを結人に飲ませたらいきなり噴出した。あいつトマト嫌いだからな)

の分のドリンクバーを取りに行って、帰ってきたらもうドルチェが来てた。さすが早いな。ついでに俺の野菜ジュースも。



「一馬それ南高の夏服でしょ?やっぱりかっこいいね!」

「そうか?俺はの制服のほうが可愛いと思うけどな」

「うーん、制服は可愛いけど私が着るから、可愛さも半減だよ」



んなことねぇって!めっちゃくちゃ可愛いって!むしろ可愛さ倍増だよ。

でもやっぱり気になる。何がって?下着が透けてることがだよ。

こんなのクラスの男どもに見せたら一発でノックアウトだ。可愛さの上にセクシーさが加わったらもう発情期の高校生にとってはたまったもんじゃない。

なんとしても、にベストを買わせないと・・・!ってか俺がプレゼントしたほうがいいのか!?



「な、なぁ

「ん?なに?」

はベストとか着ないのか?」

「ホラ、私の学校私立じゃない?だから学校指定のベストじゃないと着ちゃいけないんだよね;」

「じゃあ学校指定のベストは着ないのか?」

「まだ届いてないんだって。届き次第配られるらしいけど、もうちょっと先になるかな。それがどうしたの?」

「あ、いや別に・・。もしよかったら俺がベスト買おうか?学校終わったあととかに着れる、だろ?」

「え!?でも悪いし・・・」

「いいって!ホント悪いとかじゃないから大丈夫だって!むしろプレゼントさせてくれ!頼む!!」

「あ、うん・・そこまで言うなら・・・」



頭にはてなマークを浮かべながらは俺の勢いに押されてベストを買うことを承諾した。

よし。これでの安全は守られる。よくやったぞ、俺。頑張ったな。俺。

そんなこんなでサイゼ〇アを出た俺たちはそのまま近くのスクールショップに入っていった。

周りは女子高生ばっかり。かなり恥ずかしかったけど、これも愛しいのため。耐えろ、耐えるんだ一馬・・・!

スクールバックが置いてある隣にベストがずらりと並んでいた。へぇ、一言にベストって言っても結構な種類があるんだな。



「どれにしようかなぁ♪ねぇ、一馬はどれがいいと思う?」

「俺?俺は・・・」



一つベストを手に取り、に当ててみる。こんなとき結人がいたらちゃんと色合いとかのバランス考えてくれるんだろうな。

ってかなんでも似合いすぎ。どのベストを当ててみてもぴったり似合っている。

でも俺的にはやっぱりグレーとか落ち着いた色がいいと思う。清楚な白でもいいな。



「これか、これがいいと思うよ」

「そっかvじゃあこっちにしようっと」



俺が選んだ白いベストを手にとって、ルンルン気分でレジへと向かう。も気に入ってくれたみたいだ。良かった良かった。



「すぐお使いになりますか?」

「あ、いえ袋に・・・「すぐ使います!!!」



あ、はい・・・とレジのお姉さんはすぐに値札を切ってレシートと一緒にべストを渡した。

危ねぇ・・!今日一日ベスト着ないで歩いてたらやばいことになる!

もレジのお姉さんも不思議そうな顔をしていたけど、なにはともあれのベストを買うことには成功した。



「なんか一馬勢い良かったね。どうしたの?」

「そ、そうか?なんかのベスト姿早く見たくて」

「そっかvじゃあご希望にこたえまして」



やっぱりには白いベストが良く似合う。これでやっとの安全が確保された。ホントよくやったよ一馬・・!



「似合う?」

「すっげぇ似合う!」

「へへvありがとう!じゃあ今日はこれで帰るね!またメールするから!」

「あぁ、じゃあな!気をつけろよ!」



大きく手を振っては帰っていった。そういえば、なんでにベスト着させたのかあいつ最後まで気付いてなかったな。

天然って恐ろしい・・・。






俺の苦悩はまだまだ続く。

















なんか一馬が一馬じゃないです(爆)偽一馬炸裂!(ォイ)

花月