冬は寒い
















寒いと人は温かさを求める
















そんな人類が考え出した最終兵器
















その名は・・・こたつ




































































ぬくもりボックス
















































































「あーもー寒い!なんでこんなに寒いのよ!」

「しょうがないだろ、ストーブ壊れてんだから」

今日は珍しく選抜、ユースともにオフだったのでが俺の家に遊びに来た。

だけど、俺の部屋のストーブは故障中。居間には母さんたちがくつろいでるから行きたくないし、というわけで寒がりなは毛布を頭から被ってがたがた震えている。

俺はもう慣れたし、寒いのは意外と平気だから大丈夫。だいたい、が寒がりすぎるんだよ。

「寒いよー!あっためて一馬ー!」

「なっ!なんてこと言ってんだよ!//」

「この程度で照れるな、かじゅま」

「かじゅまって言うな!」

は毛布の間から顔をのぞかせて笑った。あっためてとか言われるとどうしていいかわからなくなる。俺がそういうの苦手なの知ってて言ってるからなおさら性質が悪かった。

もーとひねくれているを軽く無視して、俺はサッカー雑誌を手にとる。昨日買ったばかりの新刊だから、早く読みたくてしょうがなかった。

「一馬ー!寒いー!」

「毛布被ってんじゃねぇか。俺なんてなんも被ってないんだぞ?」

「一馬はヘタレだから寒くないんだよ」

「関係ないだろ!?」

なんとも意味のわからない会話をしていたら、そうだ!とがいきなり毛布から飛び出してベッドの上に立ち上がる。

あんまり急なことだったから思わずサッカー雑誌を落とした。は何をするにもいきなりだから、たまにこういうことがある。

今度はなんだ?新しいストーブ買ってこいとか?

「こたつ!日本人の癒し、こたつを出せばいいじゃない!」

「こたつ?」

まぁ、あるにはあるけど・・。この部屋に入るのか?こたつ。ってかまるで我が家みたいな振る舞いだな。

「一馬こたつ!こたつ出して!そうじゃなきゃ私凍え死ぬ!」

「そんな大げさな・・」

「一馬は私が死んでもいいわけ!?」

「・・・・・・」

しぶしぶ雑誌をもとの場所に戻してこたつを出しに物置へ行く。

そういえば、今年の冬はまだ一度もこたつを出してなかった。去年は寒かったから俺用に買ったはずで、たしか物置にしまったままになってた。

こうやってのペースに巻き込まれてるあたり、やっぱりが好きなんだなぁとか思ってみたり。

俺がこたつと格闘してる間も、はずっと毛布を被り続けていた。

そして約20分後。俺の部屋にこたつが誕生した。

「わーい!こたつ!こたつ!さぁさっそくスイッチオン☆」

「わかったからそんなにはしゃぐな;」

コンセントをさしてこたつの電源を入れると、中がほわっと暖かくなった。

は毛布を投げ捨てて(俺の毛布なのに!)こたつへと場所を移動する。幸せそうな顔に、俺もつられて口元を緩めた。

努力してこたつ出した甲斐があったな。ってか猫みたい。こたつで丸くなるとかいう歌なかったっけ?

「そういえばさぁ〜私、前までこたつダメだったんだよね」

「なんで」

「ホラ、昔こたつの中に魔物が住んでて、足引っ張るっていう怪談話あったじゃん?」

「あーあったあった。もしかして、信じてたのか?」

「だってこたつの中ってちょっと不気味なんだもん」

「ありえねぇー!」

「笑うなヘタレ!」

「ヘタレじゃねぇ!//」

「赤くなってる時点でヘタレだよ」

あー温い〜とは肩の辺りまでこたつの布団を被って目を閉じた。俺も寒かったから、同じようにしてみると、風がくる!と無理やりもとの位置に戻された。

理不尽じゃねぇか?だって俺のこたつだぞ?と思っても、愛しい彼女のため我慢した。やっぱり俺はヘタレか・・・・?

がなぜか少し不満そうな顔をした。なんだ?あ、そっか。

天国のようなこたつから抜け出して、俺は居間へ向かい、あるものを持ってくる。これが欲しかったんだろ。

「わぁい!みかんだーvv」

こたつにみかん。本当にらしい考え方。にこにこと笑ってさっそくみかんをほおばる。俺も食べてみたけど、意外とイケた。こたつで食べると味も違うのかな。

「よふわはったねーはひゅま!」

「喜びは伝わったから、とりあえず口の中のもん飲み込んでからしゃべってくれ」

「よくわかったねー一馬!って言ったの」

「まぁな。長い付き合いだし」

「なんか老夫婦みたいだね。あ、熟年離婚!?」

「突拍子もないこと言うなよ!なんだよ熟年離婚って!」

「今流行ってんじゃん」

「いや、そういうことじゃなくて、なんで離婚するんだよ。第一結婚もして・・・ねぇ、し・・・//」

そうだよ。結婚とかしてねぇし、離婚とか言われても・・・もしかして別れたいって意味なのか?

もう結構長く付き合ってきたから、別れたいとかそういう意味なのか!?

「一馬被害妄想強すぎ」

「え!?」

「誰も別れたいなんて言ってないよ。むしろこれからもよろしく、みたいな?」

「あ、そっか・・・よかった」

「やっぱりヘタレだねー!」

「・・・・・ノーコメント」

認めちまったら癪だから、ノーコメントでしのいでみた。そしたら案の定に笑われた。

「こたつっていいね」

「なんだよ突然」

「だってほら、あったかいし」

「あーなるほど」

「それに・・・」

「それに?」

「一馬との距離が近いでしょ?」

「あ・・・・・//」

突然の言葉に、思わず赤くなってしまった。なんだか嬉しい。こんなこと言うと、またに乙女チックとか言われるんだろうけど。

「俺もこたつ好きだよ」

「なんで?」

の幸せそうな顔が見れるから」

「アハハー・・・不意打ち///」

も赤くなる。これはあったかい所為じゃなくて、照れてるから。

こんな風に過ごせるなら、寒さもきっと悪くない。

こたつがもたらしたこの近い距離も、の幸せそうな顔も、寒さなんかに全然負けない。

幸せなものだから。
















こたつネタ。こたつ大好き人間です。

花月