遠い昔の約束











あなたは覚えていないかもしれないけど











私は確かに覚えてる












もし、その約束が叶うなら











私はきっと・・・・









































































幼き二人









































































「カーズー!!勝負だー!!」

せっかくの日曜。九州選抜の練習もない完全なオフの日に、カズは外から聞こえてきた怒鳴り声で目を覚ます。

まだとろんとしている目を擦りながら冬の窓を開けると、玄関の前にはサッカーボールを持った一人の少女が立っていた。

。カズの幼馴染にして、サッカー友達でもある。そんな彼女はことあるごとに、カズへと勝負を仕掛けていた。

「朝っからせからしか、。近所迷惑っちゅうもんば考えんね!」

「そげんもん、早起きせんカズのためやろが!さっさと降りて来い!今日こそ決着つけてやると!」

昔から一直線というか、熱血的というか、サッカーのことになると周りが見えなくなる。カズはひとつため息をついて適当なジャージを羽織ると、下へ下りていった。

「やっと起きたか。寝ぼすけ!」

「寝ぼすけっていつの言葉や。、何度やっても俺が勝つんは目に見えとぉやろ?」

「今日こそ勝つ!因縁の対決やけんなぁ」

「はぁ・・せっかくの休みやのに・・・」

「さぁはりきって行こう!」

しぶるカズを引きずるようにして、はさっさと近所の公園に向かった。の抱えたサッカーボール。それは昔から使われている、年季の入ったものだった。

公園につくと、さっそくカズはMyグローブをつけてサッカーゴールへと立つ。

昔からこの公園にくると、いつも自分はこの位置に立っているような気がした。そして相手はいつも

もMyボールを地面に置いて、その上に片足を乗せ、びしっとカズに人差し指を向けた。

「今日こそ勝たせてもらうけん、覚悟せんね!」

「しっかり受けたる。ばってん、勝つのは俺たい」

なんやかんや言っても、カズも所詮はに甘い。それにサッカー好きは変わらなかった。だから、の挑戦もしっかり受けるし、気が付けば自分のほうが熱くなっていることもしばしばある。

そんな関係が幼いころからずっと続いている。幼馴染、いや腐れ縁といったほうが正しいだろうか。

今までの戦績はカズの全勝。も上達はしているのだが、それでもカズの守るゴールネットを揺らすことはまだ一度もなかった。

「さぁ、いつでも来んね」

「絶対勝つ!」

とカズの間にピリピリとした空気が漂う。

そして、の渾身の一撃が放たれた。

「っし!」

「なしてー!?」

の放ったボールはカズのファインセーブによってゴールから程遠いところへと転がっていった。

「まだまだ甘か。精進せろ」

「もう一回や!」

「良かぜ!」

こうしてやり続けること早半日。冬の日は、あっという間に夕方を迎えた。

ボールを蹴り続けるも、ゴールを守り続けるカズもほとほとに疲れ果てる。そして2人は背中をあわせて座り込んでしまった。

「はぁ、はぁ・・・、なかなかやりよんな」

「そ、そっちこそ・・・」

すでにバテバテの2人は、息を切らしながらもしゃべり続ける。

「なしてそこまでして俺に勝ちたがると?」

「はぁ!?カズ、覚えてなかね!?」


「な、なんを・・・?」

は心底驚いた顔をして、カズを見た。それに対してカズは全く知らないといった様子。深いため息をついたあと、は空を見上げて語り始めた。














「俺、将来は世界1のゴールキーパーになると!」

「それやぁ私は、世界1のストライカーになるー!」

「そげんこつありえなか。俺が世界1たい」

「いや、私や」

「そんなら勝負しよ。もしが俺から1回でもゴール奪えたら、そんときは認めちゃーたい」

「良かよ。あ!あと、もうひとつ条件ばつけてくれんね?」

「なんや?」

「1つだけお願い、聞いてくれん?」

「お願い?」

「そう。お願いや。ダメ?」

「わかった。ただし、1回でもゴール決めたらな」

「ならさっそく勝負や、カズ!」

「おう!かかってこい、!」













「それ以来、私はずっとカズに勝負しかけとったんに、カズは目的知らんかったんやね」

「そげん昔の話、覚えちょらん」

また背中合わせになって、互いに空を見上げる。

夕暮れに染まる赤い空は、とても綺麗で2人はしばらく言葉を失った。

「・・・・聞いちゃる」

「え?」

突然カズが、ぼそりと呟いた。何を言ったのか理解できなかったはカズのほうに顔を向けて首をかしげる。

「やけん、お願い。聞くだけ聞いちゃる」

「なしてそげんこつ、急に言い出すん?」

「・・・・そんなもん・・・//」

「なんね?」

「教えなか」

「えー!?そこまで言っといて!?」

そのとき、カズの顔が赤かったのは夕日の所為かはたまた別の何かだったのか。にはよくわからなかった。

「叶えるんやなかとよ?聞くだけや」

「・・・・・言わん」

「なして」

「ゴール決めてから言うとよ」

「・・・なら早うゴール決めんね」

「ならもう一回勝負や!」

「おう、かかってきぃ」

また立ち上がる二人。そしていつもの定位置につく。

それから幾度となくPKをした。決着はいつもの通りだったけど、いつか・・いつか・・・。

きっと願いがかなう日が来る。






私の願いは







俺の顔が赤かったのは







カズのことを







のことを







愛しているから――











春奈さまに捧げるカズドリームです。意味不明小説になってしまいました;申し訳ありません;;

花月