大好きな君の











一つ一つが











俺にとっては











大切なもの


































































白黒熊































































選抜の帰り。いつものようにファーストフード店に寄る。そして席につくなり、俺は英士と結人に思いっきり見られていた。

「な、なんだよ・・・」

あまりにじっとこっちを見てるのでどうしていいかわからず聞いてみると、ポテトをもった結人がビシっとポテトを出してきた。

「先週の土曜日、ちゃんとデートしたのは誰でしょう」

はぁ!?いきなりどうしたんだよ。続いて英士もジュースのストローを突き出して言う。

「その後、ちゃんを泣かして帰ってきた奴は誰でしょう」

あ、いや・・・・それは・・・・・・・・・・・・・・・・。

「俺、です・・・・・」

俺は静かに俯いて言うと、呆れたようにため息をつく二人。ヘタレだなぁ、と顔に書いてあった。

「なんで泣かせたりしたんだよ。あんなにラブラブだったくせに」

「泣かせてねぇよ。ただ、が勝手に泣いただけだって。っていうか、なんで知ってんだ?」

「一馬のデートを俺らがチェックしないわけがないでしょ」

つまり、つけられてたってことか;まぁ、確かにどっかで見たことある人がいるとは思ってたけど、まさかこいつらとは。やられた・・・・。

「勝手に泣いただぁ!?男っていうのはな、大体女の子を泣かせた後にそういうもんなんだよ!」

結人が身体をのりだして、俺に熱弁をふるった。お前は女の子と付き合う資格がない!と再び席に戻る。

「それで、結局は何が原因なの?」

「理由によっちゃ、一馬たこ殴りな」

「え!?何で俺がたこ殴りにされなきゃいけねぇんだよ!」

「いいから、早くいいなよ」

英士に急かされ、俺は一口ジュースを飲んだ後に話し始める。

そう、あれはデートの帰り道。偶然来ていたサーカスを見た帰りだった。




































































「すごかったね!サーカス!!」

隣を少し興奮気味に歩くを愛しく思いながら、俺は笑って話を聞いていた。

「ライオンが火の輪くぐるって本当だったんだ!あんなの一馬もできないのに、ライオンが出来ちゃうなんてすごいよね!」

「俺だって火の輪くらいくぐれるって!」

「一馬だったら、火の輪の前で怖気づいちゃうでしょ?」

なんとも痛い言葉を聞いて、少なからずショックを受ける。なんでここまで言われてんだ、俺。

「あ、でもあのサーカスさ、パンダいなかったよね。なんでかな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パンダ?」

「うん、パンダ」

サーカスにパンダ?いたっけそんなの。いや、そこまでサーカス通ってわけでもないけど、少なからずパンダはいないだろ。希少動物だし、日本では動物園にしかいないんじゃねぇの?

そんな思考を繰り広げてる間にも、はおかしいなぁと首をかしげている。本気で信じてんのか・・・。

、パンダはたぶんいないと思うんだけど・・・・」

「なに言ってんの一馬。サーカスといったらパンダでしょ?」

「でも一応希少動物だし」

「いるったらいるの!」

「いや、だからいねぇって」

「ホントにいるんだってば!もういい!バ一馬!!」

そのままは走り去ってしまった。

































































話し終えると、二人はまた俺を凝視した。今度はさっきと違って、ずいぶん間の抜けた顔をしている。

「な、俺は悪くないだろ?」

「あ、いや・・・なんていうか・・・」












「「くだらねぇ・・・」」













見事に二人の声がハモった。くだらなくねぇよ!その所為で俺はメールも電話も全部シカトされてんだぞ!?

「で、実際のところサーカスにパンダはいんのか?」

俺が聞くと、英士も結人も首をかしげる。どうやら定かではないらしい。

「でもちゃんを泣かしたのはやっぱりお前が悪い!」

「な、なんでだよ!」

ちゃんがいるっていったら、一馬もいると思わなきゃ」

そんな理不尽な;そしたら俺の思想の自由はどうなるんだよ。

「別に全部を全部ちゃんに合わせろって言ってるわけじゃないよ。ただ、一馬ももうちょっと大人になんなきゃ」

「大人?」

「そう。ちゃんがそんなに可愛い思想持ってるんだったら、それを受け止めて愛でるくらいの大きさを持たなきゃダメじゃんか」

英士と結人にそう言われ、俺は今までの自分を振り返った。確かに少し、大人気なかったのかもしれない。

俺はいても立ってもいられなくなって、ガタっと席を立つ。そして早口で二人に告げた。

「俺。んとこ行ってくる!!」

そういう二人に二人は笑ってエールを送ってくれた。

「おう、がんばってこいよ!」

「あんまり急ぎすぎてコケないようにね。あぁ、それと・・・」

























































「「今度ちゃん泣かしたら俺がもらうから」」



















































背中に猛烈な寒気を感じた。二人の目はマジだ。これは本気で狙ってる目だ。

き、気をつけないと・・・;

青ざめながらありがとうと礼をいって、俺は店を飛び出した。

目指すは、愛しいの家。

























































家の前についてインダーホンをならす。しかし、人が出てくる気配はいっこうになかった。

おかしいな・・・出かけてるのか?

そのとき、後ろから声をかけられる。

「一馬?」

振り返ればそこには買い物袋をもったの姿。思わず顔が赤くなった。

「何か用?」

思い出したかのようにの声色が変わった。とても怒っている感じだ。やっぱり泣くくらいだから相当怒ってるな;

「あ、その・・・俺・・・」

「何?」

頑張れ、俺!ここであの二人に取られてもいいのか!?ここまで来るのに何年かかったと思ってんだよ。ここで言わなきゃ男じゃねぇだろ!

「えっと・・・悪かったと思ってる」

「え・・・?」

「俺も、いると思うよ。パンダ」

「一馬・・・・」

が買い物袋を落とす。そしてそのまま、俺の背中に手を回した。一気に耳まで赤くなる。

「ありがと、一馬・・・」

「//////////」

ふっと力を抜いて、俺もを抱きしめる。久しぶりに抱きしめるはとても暖かかった。

「俺、もっとのこと理解するよ」

「うん」

「英士と結人には絶対渡さねぇから」

「??・・・うん?」

空に一番星が輝くなか、暗くなりつつある街の中で俺たちはいつまでも抱き合っていた。

が今俺の腕にいる喜びを確かめながら、そして優しいキスをした。




























-その頃、ファーストフード店では-

結人「あ〜あ。今頃一馬たちはラブラブデートかよ」

英士「別にいいだろ。次に一馬がちゃんを泣かせたら俺のものになるし」

結人「英士・・・まさかあれ本気か?」

英士「当たり前でしょ。結人は本気じゃなかったの?」

結人「・・・・・・本気」






二人「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」






結人「お互い正々堂々と戦おうな」

英士「でも、手加減はしないからね」

こうして一馬は忘れ去られていくのであった・・・。









なんだかよくわからないものになってしまいました;ぶっちゃけ、パンダっているのかな?

花月