何かのために
誰かのために
一生懸命になることは
とってもとっても
素敵なこと
プレゼント
それは、帰り道での出来事。
「あれ?あそこにいるの、結人くんと英士くんじゃない?」
「あ、ホントだ。おーい」
親友のと一緒に帰っている途中、私の彼氏である一馬の親友二人を見つけた。
二人も私たちに気付いたらしく、すぐに合流する。でも、一馬の姿はどこにも見当たらない。
「ちゃんにちゃんv偶然だな!」
「今帰り?」
「うん、そうだよ。ねぇ一馬は?」
「そういえば一馬くんいないね」
服装から察するに、東京選抜の帰り。ということは、一馬もいるはずなんだけど・・・。
「あいつ今日はさっさと先に帰っちまったんだよ」
「そう、用事があるからとか言って」
「俺はちゃんとデートだと思ったんだけど・・・違うみたいだな」
「何やってんだか」
へぇ・・・一馬に用事、ねぇ。
なんか怪しくなってきた。まさかあの一馬が浮気なんてするとは思えないけど、それでも男はみんな狼だし。あれ、意味違う?まぁいっか。
とにかく、いくらヘタレかじゅまといえど、怪しいことには変わりない。
信じてるけど・・・やっぱりちょっと不安かも。
「とにかくさ、せっかく会ったんだしマックでも行かね?」
「いいね!行こう行こう!」
結人くんとでしっかり同意して、私と英士くんはそのあとからついて行った。前から思ってたんだけど、と結人くんって結構いい相性だと思うんだよね。
付き合っちゃえばいいのに、なぁんて考えてみたり。
そんなこんなでマックに到着。一馬がいないからちょっとつまんない。
せっかく会えると思ったのに。
「じゃあ私たち先に買ってきちゃうね。いこ、」
「うん」
財布を持っていざレジへ。と、そこで事件は起きた。
「いらっしゃいませ!ご注文をどうぞ!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
場にしばらくの沈黙が流れる。
そう、そこにいたのは・・・。
「か、か、一馬・・・?」
「うわぁ!?!」
一馬がマックで、満面の笑みを浮かべながらバイトしてる・・・っ!!
用事ってコレだったのか。なんか安心したけど、やっぱり・・やっぱり・・・・。
「あははははははははははははっっ!!!!!ヤバイ!マジウケるって!ムリだって!!」
「くっくっくっくっ!!、笑いすぎだって・・・っ!!」
だって面白くない?あの照れ屋でぶっきらぼうというかヘタレな一馬があのマックでにっこり笑ってバイトしてるんだよ!?
っていうか制服似合いすぎ!もうだめ・・っ笑い死ぬ・・・・っ!!
「な、なんでこんなとこにたちがいんだよ!」
「あれぇ?お客さまに対してその言い草はなに?店ち・・・「あーわかった!わかった!すみませんでした!!」
こりゃ面白い。使いやすい奴だなぁ。
と、そこへ歩いてくる友人二人。あ、一馬ピンチ。
「なぁなぁもう注文し終わった・・・か・・・?って一馬ぁ!?」
「あ、ホントだ。なにしてんの、こんなとこで」
「ゆ、結人・・・英士まで・・・!」
「ぶぁははははははは!!!!!お前制服似合いすぎだ!!あの一馬がスマイル売ってる!!!!はははははは!」
「結人、笑いすぎ」
至って冷静な英士くんと私と同じく爆笑する結人くん。英士くんも冷静そうに見えて、しっかりちゃっかり一馬の制服姿を写メっていた。
ぬかりないところがまた素敵だよ、英士くん!あとでそれ送ってね。
「お、お前ら早く注文しろよ!俺が睨まれてんだから!」(小声)
「あーわかったわかった。ごめん、つい」
一通り笑い終わったあと、私は笑い涙を拭いて注文をする。
何食べようか。最近はサラダが重視らしいから、それでも頼もう。
「えっと、サラダチキンと、マックチキンと、チキンナゲット」
「はい・・ってお前チキンばっかだな;」
「そんなことお客さんに言ってもいいのかなぁ〜?」
「すみませんでした。以上ですね?」
「あ、あと――」
せっかくマックで知り合いにあったんだから、これ言わないと損でしょ。
ってか言えってみんなが目で訴えてる。もちろん言いますよ、言うしかないよ!
「スマイルください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あはははは!!!困ってる!めっちゃ困ってる!
結人君も英士くんももやっぱり爆笑。もちろん私も。
「・・・こんのやろぉ・・・!!」(小声)
「ホラ一馬。早くスマイル頂戴?」
そして一馬は、頬を引きつらせながらニッコリと笑みをこぼした。
「「「「あはははははははっははははははは!!!!!!!!」」」」
なんて従順なやつ!面白すぎるぅ〜!!
案の定一馬の顔は真っ赤。そしてさっきから先輩らしき人に睨まれっぱなしだ。
そんなこと構いもせず、私たちは笑い続けた。
それから数日後。その店から一馬の姿は消えた。
そして、私の指に光るリングがはめられた。
バイト受かりましたよ記念で
花月
