どうしても手に入れたかった
どうしても手に入らなかった
だからこうするしかないの
私の手を何度血で染めたら
あなたは私のものになってくれる?
それは永遠の中にある
小さな暗闇
Sister
私のお兄ちゃん。
小さい頃からいつも一緒で、ずっとお兄ちゃんの後ろをついて回ってた。
私が男の子たちに虐められてたら、すぐに飛んできてやっつけてくれて。
私が女の子と遊んでたら、優しい目で見守ってくれていた。
お兄ちゃんさえいれば、私はなにもいらない。
私の世界はお兄ちゃんで回ってる。
お兄ちゃん以外目に入らないの。
だから・・早く私のものになって?
「?おーい、」
「はっ!え、な、なに?」
「どうした?ボーッとして」
「ううん、なんでもないの。ちょっと考え事」
「そうか。困ったことがあればなんでも俺に言えよ?」
「はぁい」
三上亮。私の大事なお兄ちゃん。
私がこの世で唯一愛する人。
お父さんやお母さんも大事だけど、それ以上にお兄ちゃんは大事な存在だった。
お兄ちゃんのお嫁さんになるって昔はよく言ってたけど、今でもまだ思ってる。
兄妹同士は結婚できないなんて国の法律に従うなんて耐えられないけど、それでもこの想いは口にしちゃいけないって、何度も心に閉じ込めた。
でもね。もう我慢の限界なの。
私はお兄ちゃん以外愛せない。
狂った感情と呼ばれてもいい。ただ、お兄ちゃんにだけは認めてほしかった。
どんなに辛い片思いだったか。
でも、それも今日で終わりを告げる。
だってお兄ちゃんは私のものになるんだから。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「んー?」
「大好きだよ」
「俺もだよ」
そう言ってくしゃっと頭を撫でるお兄ちゃん。
違うの。私が言っている大好きはそういう意味じゃない。
愛してるの。心の底から。
どうして気づいてくれないの?
「違うのに・・・」
「?」
俯いた私にお兄ちゃんは優しいまなざしをかけてくれる。
あぁ、この瞳が私だけに向いていたらよかったのに。
他の女になんか渡さない。
お兄ちゃんは私だけのものなんだから。
「どうした?なんかあったか?」
「愛してる」
「え・・?」
「愛してるよ、お兄ちゃん。世界中の誰よりも。愛してるよ」
戸惑った表情。
困らせてゴメンね。でも本当のことなの。
愛してるって言葉をもう何年押し殺してきたか。
神様。罪なことはわかっています。
でも、私に一度だけチャンスをください。
「、何言って・・・」
「私本気だよ?」
「でもお前は俺の妹だろ」
そんなの関係ないよ。
だって愛してるんだもん。それだけで充分でしょ?
私のものにならないのなら・・・。
「こうするしか・・・ないの」
「!?」
銀色にきらめくナイフをお兄ちゃんに向けながら私の目はお兄ちゃんだけを捉えていた。
怖い?大丈夫。
すぐに後を追ってあげるから。
ずっと一緒にいよう?二人だけの世界で――
「やめろ・・!!」
「愛してるよ、お兄ちゃん。他の女に取られるくらいなら、私の手で・・・死んで?」
スっと身体に突き刺さるナイフ。
真っ赤な血がナイフを伝って私に温かさを教えてくれる。
声も出さず、お兄ちゃんは死んでいった。
これでやっと、私のものになってくれたね。お兄ちゃん。
すぐに行くから待ってて。
そしてずっと一緒に暮らしましょう。
こんなデタラメな世界から抜け出して。私と二人、いつまでも。
お兄ちゃんの身体からナイフを抜いて、今度は私の喉基にあてる。
あたたかい。これが人の体温。
血っていうのは、こんなにも優しいものだったんだ。
愛しい愛しいお兄ちゃん。
愛してるよ・・・世界中の誰よりも。
これでもう、私のもの。
私だけのもの。
ジャンヌダルクのSisterを元にしてます。狂った愛。
花月
