俺にとっては日常茶飯事











この誰もいない空間は俺だけのもの











ここを共有できるのは











たった一人











大好きなあいつだけ







































































空の下











































































誰もいない屋上。貯水タンクのところに寝転がって、高い空を仰ぐ。

遠くから響く先公の声、グラウンドから響き渡る笑い声、車の音。

いろいろ聞こえるけど、どれもすべて曇って聞こえた。ただはっきりと聞こえたのは・・・。

「んだよ、メールかよ」

メールの受信音。

相手は彼女のだった。なんで授業中にメールなんかしてやがんだ。なら堂々とサボればいいのに。

『またサボりかー』

「いいじゃねぇかよ別に。誰にも迷惑かけてねぇだろ?」

『今どこよ?』

「空の見えるとこ」

『素直に屋上って言えばいいのに』

「そこが俺の味ってもんだろ」

『意味わかんない。いいなぁ、私もサボりたいー』

「ならサボれよ。気持ちーぜ?」

『でも授業中だし』

「メールしてんなら一緒だろ」

『・・・さっき先生ににらまれた』

「ばれたんじゃねぇの?」

『あーもーマジでつまんない』

「ご愁傷様だな」

そこでのメールは途切れた。

ついに見つかったか?バカだな、メール打つくらいならここでサボってたほうがいいのに。

ま、後で呼び出されること間違いなしだけどな。

新しいガムを口に含んで、膨らませる。白いガムと青い空が妙にあってて不思議な感じがした。

そして、また鳴り響く受信音。

『サボりたい』

「まだ言ってんのかよ。ならサボれサボれ」

『一緒にサボってくれんの?』

「よろこんで」

「じゃあサボろっとv」

いきなり本物のの声が聞こえてきて、俺はビクっと身体を起き上がらせる。

下を見れば、そこにはケータイをもって笑っている愛しい彼女、

「おまっ!どうやって抜け出してきたんだよ!?」

「ふふーん♪企業秘密v」

風に揺れる髪を気にしながらは俺の隣まで上ってきた。

俺も寝転がるのを止めて一緒に足を伸ばす。一人よりも二人のほうが断然サボりがいがあった。

「気持ちーねー!癖になりそう」

「どんな癖だよ。っていうかよかったのか?優等生が授業抜け出したりして」

「芭唐こそ、野球部のエースが授業サボっていいわけ?」

「俺は野球だけやってりゃいいんだよ」

「ずるいよね、それ。私も野球部入ろっかな」

「やめとけ、なら1時間でダウンすっから」

「なによー私だって結構できるんだからね?」

「じゃあ50mのタイム言ってみ?」

「あー風が最高だー!!」

「おい、話逸らすなって」

上手く話しを摩り替えたは、そのまま寝転がる。そしてうわぁ、と声をあげた。

俺も一緒に寝転がると青い空が高く広がっていて、とても気持ちよかった。

授業受けるよりもこっちのほうがずっと楽しいし、楽だ。

「芭唐、今度一緒に遊びにいこうね」

「おー」

「そしたらまたこうやってさ」

「ん?」

「空、見上げようね」

「そうだな」

二人同時に見詰め合って、俺達は優しいキスをした。

青い空、白い雲、爽やかな風、愛しい彼女。

あと他に何がいる?なんもいらねぇじゃねぇか。

俺がこうしていられるのも、がいてくれるから。

またこうやって一緒にいられるのなら、サボりもそんなに悪くねぇ。

二人で笑って、抱きしめあう。人のぬくもり、ってやつを感じられた。

「次の授業もサボりますか!」

「そうしろよ、

「こんな毎日送ってたら・・・」

「送ってたら?」

「芭唐病になっちゃうよ」

「なんだよ、そりゃ」

おかしなことを言って笑いあう。

また一緒にいよう。もう1時間の間。








この青い空の下で。