古き良き時代
たしかに古いって言うのはいいこともある
だけどさすがに
これはないだろ・・・
昭和の女
その事件は朝起きた。部活が終わってHRの前、俺の彼女であると最近の音楽について語り合っていた時のこと。
俺だってそんなに音楽に詳しいわけでもないけど、それでも少しは音楽番組だって見るし、新しく出たCDぐらいはチェックする。
だからまぁ、流行に乗り遅れてはいないと思う。だけど、は違った。
「ホラ、今度コブクロが新曲出したじゃん?あれがさぁ・・・」
「こぶくろ?」
「え、コブクロだよコブクロ。こぶくろじゃなくて、コブクロ。知ってんだろ?」
「・・・・・・・・・」
最初はふざけてるんだと思ってた。けど、の目は大マジ。ギャグなんていってる顔つきじゃない。
俺は自分に一回蹴りを入れて、息を吸って、落ち着かせたあとゆっくりとに聞いてみた。
「。今のオリコン、1位はなんだと思ってる?」
「およげたいやきくん」
真顔。ここまでの会話全てにおいて、真顔。おいおい、いくらなんでもそりゃねぇだろ。だいたい有線とか流れてんだから、およげたいやきくんはない。
「ちなみに、なんで?」
「だってお店で流れてたんだもん」
嘘だろ!?いまどき!?もう21世紀だぜ!?なんでおよげたいやきくんなんか流れてるんだよ。どんな店だ・・・ってちょっと待った。それってもしかして・・・。
「お前、その店なに売ってた?」
「たいやき」
やっぱり。そりゃたいやき屋なら流れてるわな。だっておよげたいやきくんだもんな。
チャイムが鳴って席に戻ろうとするを必死に引き止めて、俺達は屋上へと上がった。
彼女が今のオリコン1位をおよげたいやきくんだと思ってんのに、授業なんて受けてられっか。こうなったら俺が徹底的に教えてやる。今の音楽市場。
雲ひとつない晴天の屋上は気持ちいい。貯水タンクのところに二人で登って、早速俺はにいろいろ聞いてみることにした。
「じゃあまず、ジャニーズっていうのは知ってるか?」
「知ってる」
おー!ジャニーズは知ってんだな。そりゃそうだ。知らなきゃ女じゃないもんな。
「どんな奴がいる?」
「少年隊とかマッチとか・・・・」
「わかったわかった。もういい」
いるけど。確かにいるけどさ、そいつらも。だけど普通言うか?花の女子高生だぞ?それがなんでキンキとかNEWSとかじゃなくて少年隊?
「じゃあつんくは知ってるか?」
「知ってるよ、そのくらい」
「モー娘は?」
「・・・・・・・・・・・・・・牛?」
牛じゃねぇよ、牛じゃ。モー娘が牛だったら嫌だよ、俺。泣くよ。
となるとハロプロも知らんな。松浦あやとか知らなそうだ。ってか、最近の奴で知ってるのいるのか?
「、自分の中で一番新しいと思うやつ上げてみな?」
「うーん・・・・元ちとせ?」
ま、まぁ新曲出したし新しいといえば新しいけど。
「ちなみに、元ちとせの一番新しい曲知ってるか?」
「涙そうそう」
あーやっぱり。そりゃ夏川りみだろ。沖縄違いだから。つってもわかんなそうだなぁ・・・。
ここまで最近のこと知らない女子高生も珍しいだろ。こりゃ人間国宝だ。いろんな意味で。
「わかった。じゃあ音楽から話を変えよう。略語とか、知ってるよな?」
恐る恐る聞くと、はにっこり笑って力強く頷いた。よかった、そうだよ音楽は知らなくても略語くらい使えれば大丈夫だよな。
モー娘は知らなかったけどな・・・。
「サイゼは何の略だ?」
「サイゼリア」
オー!すごいな。ゼリアとも言うらしいけど。じゃあ次だ。
「ロイホは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ショック!マジ!?知らねぇの!?
考え込んでしまったをみて、俺はがっくりと肩を落とす。ロイホ知らんのか。サイゼは知っててロイホは知らねぇのか。
なんかだんだん悲しくなってきた・・・。
「ロイヤルホストな。そんじゃあ、『ジョナる』っていうのはどういう意味だ?」
「電気製品!」
「そりゃナショナルだ」
おいおい、コントやってんじゃねぇんだから。もうちょっと真面目に・・・っての顔めっちゃマジだ。
俺が間違ってる?俺が知りすぎてたりすんのか?違うよな。うん、頑張れ芭唐。
「えっと、じゃあ次は・・・・」
「ねぇ芭唐」
「ん?」
「70年代からずっとオリコン1位を獲得してきた歌手、誰か知ってる?」
「は?」
え、ちょっと待て。いきなり音楽の話?ってかはそれ答え知ってんのか?モー娘知らねぇのに?
「サザンとかか?」
「ブー!正解は中島みゆきさんでした」
すっごく自慢気に笑っているを見て思った。
女ってわかんねぇ・・・・・。
こうして青空の下、の奥深さを知った俺だったのでした。
半分実話。私は全然流行を知りません;;
花月
