ふと、未来を考える











それはまだぼんやりしていて











霧がかかったように白い











これからどうやって続いていくのか











それはきっと











神様しか知らない
























































































例えばあなたが





















































































いつもの通学路には落ち葉が敷き詰められ、どこか物悲しい雰囲気が漂い始めている。

秋と冬の間。いや、もうすでに季節は冬に片足を踏み入れていた。

この中途半端な季節がたまらなく好きな人とどうしても受け入れられない人。意見は様々だけど、私は結構前者の意見に近かった。

乾燥して肌荒れが気になるところだけど、そこまで気にしない。ちゃんと乳液塗ってるし。

今日は晴れ。枯れ木の間から太陽がやわらかい日を差している。

いつもの通学路。枯れ葉の舞い散る、幻想的な空間。

並木道の端にある木製のベンチで、私は一人暖かいコーヒーを持って座っていた。

何をするわけでもなく、ただぼんやりと街を眺める。

人々の格好はだんだん冬のものになり、足元はブーツが彩っていた。

そんな中、私はまだ制服でもっとおしゃれしたいなぁなんて思ってみたり。

-たとえばこの先・・・-

今日、授業で先生が言っていた。

『例えば』なんて単語、最近あんまり聞かなかったからちょっとドキっとしてしまった自分がいて。

仮定論はあまり好きじゃないけど、未来を想像するのは悪くないかなとか思った。

私の未来。これから先、きっと続いていくであろう未来。

一人で生きていくわけじゃない。今までもそうだったように、私の周りにはたくさんの人がいる。

だからきっと、私の未来じゃなくて私たちの未来って言ったほうがいい。

私の他に、私と一緒に未来を歩む人。真っ先に思い浮かんだのは・・・。



「なーにやってんだ、

「一馬!」



コンっと頭に手を乗せられ、見上げた先には愛しい彼氏の一馬がいた。

私と同じ学校の制服。ちょっとつり上がった目。でもすごく優しい瞳。

大きな手が少し冷たくて、でも心はとってもあったかくなった。だから自然と口元が緩んで笑顔になる。

それに連られて一馬もふっとぎこちない笑みを見せた。かわいい、なんて思ってしまったり。愛しいとか感じてしまったり。恥ずかしいから言わないけど。

一馬はベンチの枯れ葉を丁寧に払って私の隣に座った。

足を組んで、手を後ろについて、空を見上げる。私とおんなじ仕草。

太陽の光を顔いっぱいに浴びて、気持ち良さそうに目を閉じる一馬の横顔を見つめた。

普段はサッカー三昧で、最近ゆっくりする時間なんてなかっただろうから、こういう静かな時間が訪れてくれて嬉しい。

そういえば、登下校以外で一馬と二人きりなんて久しぶりだった。

休みの日も選抜やユースの練習で忙しかったから。

時間がゆっくり流れている気がして、とっても不思議な感覚に陥った。



「気持ちいいな」

「そうだね」

「人も少ないし」

「平日の午後だから」

「そりゃ学校も抜け出したくなるよな」

「うっ・・・」



そう。今日は休みでもなんでもなく、普通に授業があった日。たぶんもうお気づきだとは思うけど、私は授業を抜け出してここに来ていた。

たぶん一馬も。この時間ならちょうど5時間目の真ん中あたりだろう。とんだ不良カップル。でも今日だけは許してください。



「一馬も抜け出して来たんでしょう?」

「・・・まぁな」



ちょっと赤くなりながらバツが悪そうに頬を掻く。やっぱり、かわいい。いや、かっこいいんだけど、なんかかわいい。

ちょっと目を細めて笑うと一馬もまた顔を赤くして笑った。

幸せ。これが幸せっていうんだと、感じた。

そしてこれから先の未来、この幸せが続くんだとしたら、一馬の存在がなくてはならないんだろうなと。

一馬なしで私の幸せは語れないんだろうなと。

改めて、そう思ってしまった。



「ねぇ、一馬」

「ん?」

「例えば私が、どうしようもなく路頭に迷ったとするじゃない?」

「え!?、なんかあったのか!?」

「いや、だから例えばだって」

「あぁそうか・・・」



例えばこの先、運よく何十年も生きたとして。

私がどうしようもなく困ってしまって、前にも後ろにも進めなくなって。

真っ暗な闇の中で一人、泣いていたとしたら。



「一馬は、私の光になってくれる?」



ひんやりとした風が髪を揺らす。

一馬はふっと口元を緩めて私の頭を撫でた。



「じゃあ、。例えば俺が――」

「うん?」

「何も見えなくなって、どうしようもなく困って、崩れてしまいそうになったら」



大きな手のぬくもりが伝わる。

また、小さく風が吹いた。



「俺の隣で、笑ってくれるか?」



当たり前じゃない。

一緒にいるから。どんなことがあっても、何があっても、一緒にいるから。

ずっとずっと、隣にいるよ。

だって、私の未来には・・・。



「一馬がいないと、私の未来なんて真っ白だもの」



一馬は顔を真っ赤にして、目を逸らして私の頭を力強く撫でた。

いつもの照れ隠し。その証拠に、一馬の耳は先まで赤かった。

その姿が愛しくて、やっぱり私の未来には一馬が必要だと感じる。

大好き。大好き。大好き。

その言葉はきっと私たちのためにある。

ずっと傍にいるから。

何があってもあなたを支えるから。



たとえ、なにがあっても・・・。





























未来なんて不確定なもの

花月