「完璧把握!彼氏の性格!!」




そんな本を発見しました。


































































TELL ME
































































今日は日曜日。久しぶりの休日に、私は大好きな彼氏。功刀一の自宅へとお邪魔していました。

一はさっきからサッカー雑誌に夢中。全然相手をしてくれません。今に始まったことじゃないけど、それでもやっぱり物足りない。

いつもあまりしゃべる方じゃないし、周りにカップルみたいにイチャイチャするわけでもないので、私はほとんど一のことを知らないことに気が付きました。そこで…

買っちゃいましたよ!「完全把握!彼氏の性格」なる本を!!

もちろんこんな本ごときで理解できるほど一は器の小さい男じゃないことは充分わかってますけど、少しでも一のことを知りたいのです。私はさっそくバックから手帳サイズの本を取り出しました。

「いいえ、わったっしは〜さそり座の男〜♪」

「……?」

わけのわからない歌を口ずさみながら本を開くと、一が雑誌から目を離して私の様子をうかがいます。

「おきのすっむっまで〜わーらうがいいわ〜♪」

、なにしとーと?」

「うふふーvコレv」

笑いながら本の表紙を見せると、あからさまに呆れた顔をしてため息をつくカズ。占いとか性格判断とかあまり信じてなさそうだから、まぁ当然の反応だとは思うけど。

「カズはさそり座だよね。えーっと…さそり座、さそり座…」

ペラペラと探すと、真ん中のあたりにさそり座の項目を発見!さっそく調査に入ります!

「一言でいえば、責任感の強い完璧主義者です。彼女に対する愛情や思いやりも深いのですが、感情をあまり口にださない秘密主義なところもあります。時にはそれが誤解を招いてしまうことも」

あ…合ってる;確かに一は責任感が人一倍強くて、完璧主義者。しかも、あんまり自分の事教えないし…

興味なさそうな顔をしながら聞いている一をちらっと見て、私は先を続けます。

「相手のことを全て知りたいと思っており、また嫌いな相手には決して心を開かずに無口で通します。さそり座の有名人…えなり○ずきなど」

「えな○かずきって…初めて知ったと」

ゴルフをしている一を想像すると、思わず笑いがこみ上げてきます。

少し複雑な表情をしながら、一は私の本を覗き込みました。

しばらく見つめたあと、本を取り上げると何かを探し始めます。

「なに探してんの?」

「……」

黙ったまま本を読み続ける一。また少し退屈し始めたとき、不意に一が本を閉じました。

「ど、どうしたの…?」(焦)

「うっ…・!!!」

「カズ!!」

突然一が胸の辺りを押さえてその場にうずくまってしまいました。私は慌てて一に駆け寄ります。

救急車を呼んだ方がいいのか、それとも家の人を呼んでくるのが先なのか、もうパニック状態。

わけのわからぬまま、私は必死に一へ呼びかけました。

「カズ!カズ!大丈夫!?しっかりして!」

尚も苦しみ続ける一を見て、とうとう涙が溢れてきてしまいました。

「カ…ズっ・・!」

とめどなく流れる涙を拭いながら、下を向いていると頭の上に大きな手が乗せられました。

「冗談や。心配するんやなか」

子供をあやすように頭を撫でられて、上をみるとけろっとしている一がいます。

状況がよく理解できなくて、しばらく呆然としていると一は優しく微笑みました。

「よく当たっとうな。この本。は騙されやすいったい。気を付けぇよ」

騙された?これほどまでにあっけなく、簡単に?

「カズ!!今の嘘だったの!?」

「あたり前や」

しれっと認める一に、私は真っ赤になりながら怒りました。そんな私を見て、一は再びあの本を差し出しました。

「何?」

「ココ」

一が指で指し示すところにはさっき私が読んださそり座の項目が書いてあります。

「あっ…」

『相手のことを全て知りたいと思っている』

つまり…さっき調べてたのは、私のことだった?

「たまにはこういうのも良かもんやな」

そう笑った一の顔は、とてもやさしいものでした。



















あなたはあまり自分のことを話さないし

























あまりストレートな性格じゃないけど
























それでもあなたは



























私のことを



























愛してくれてるんだよね






Fin





彼氏の性格攻略本なんてあったら即買いするだろうなぁ・・・

花月