そこにいるのがあたりまえで











いつも一緒にいて











まるで兄弟みたいに双子みたいに











過ごしてきた16年間
















































































隣のあいつ





























































































じめじめとした日が続く5月の終わり。まだ暦の上では春なのに、最近は雨の日が多くてその上気温も高いからかなり蒸し暑い。夏と梅雨が一緒に来た感じだ。

そんな日の午後、ここは私の部屋。そしてそこになぜかいるのが・・・。



「なんであんたがここにいんのよ、亮」

「あ?」



人の部屋のソファでゆったりとサッカーマガジンを呼んでいる幼馴染の三上亮。幼稚園のころからの腐れ縁。武蔵森学園の中等部まで一緒だったけど、私が別の高校に行ってしまったためそこで離れた。

それまではずっと一緒。クラスすら離れたことがない。

せっかくの休み、部屋でゆっくりまだ読んでないサッカーマガジンを読みながら過ごそうと思って、おやつを買いにちょっとコンビニまで行って帰ってきたらなぜかこの男が先にマガジンを読んでた。

どういうことですか?なにかの嫌がらせですか?ってかなんで勝手にあがりこんでんのよ。



「不法侵入って立派な犯罪なの知ってる?」

「バカ、不法侵入じゃねぇよ。ちゃんと玄関から入ってきたっての」

「でも止められた・・・・わけないか。あのお母さんだもんね」

「そ。ちゃんとあいさつしたら顔パス」

「はぁ・・・」



幼馴染ということは、親とも顔見知りなわけで、そんな彼を私のお母さんが通さないわけがない。

もう高校生だよ?ちょっとは危機感持とうよ。一応男と女なんだからさ。

あーもう!楽しみにしてたのに、サッカーマガジン。今月は袋とじもあるからなおさらに。



「ってちょっと待て!なんでもう袋とじ開けてんのよ!!」

「んなもん早いもん勝ちだろうが」

「それ私の雑誌だからね!?」

「関係ねぇよ。俺のもんは俺のもん、お前のもんは俺のもん」

「ジャイ〇ンかお前は!!」

「とにかく、が俺に逆らうことなんてできねぇの。理解?」



ふん、と鼻で笑って亮はまた雑誌に目を移す。

あぁわかってますよ。亮が来たらこうなることくらい。

私は深いためいきをついて、そのまま買ってきたおかしをテーブルの上で開いた。

もちろん亮も手を伸ばす。あ、それ私が一番最初に食べようと思ってたのに!

もーなんで休みの日にこんな思いしなきゃなんないの!?

あきらめよう。亮が帰るまでの辛抱だ。

この暇な時間に、ちょっと亮の横顔を眺めてみる。

部活だなんだって結構お互い忙しかったからなかなか会ってなかったけど、それなりに顔つきも変わっていた。

一般人から見たら亮はかっこいい部類に入ると思う。けど、昔からずっと一緒にいる私にとってはそんなこと思わない。

いや、そりゃたまにはかっこいいなぁなんて思うことはあるけど、そこまでしょっちゅうかっこいい!なんて思いはしなかった。

でも、こうしているとまるで小さい頃に戻ったみたいで、なんだかちょっと嬉しい。それは確か。

亮もこんなこと思ってるのかな・・・。



さぁ」

「えっ!?な、なに?」

「なにどもってんだよ」

「いや、べつに・・・」



びっくりした。急に話しかけられたから。

思わずどもっちゃったじゃない!話すときくらい雑誌から目ぇ離しなさいよ!



「そういえば、俺がサッカー始めたのっての影響なんだよな」

「はい?」

「あ?お前覚えてねぇのかよ」

「覚えてないって・・・なにを?」

「はぁ・・・」



今度は亮がため息をついて、パタンと雑誌を閉じながら起き上がる。そして私の顔をじっと見つめて話し始めた。

こういう瞬間、一瞬だけドキッとしてしまう。



「小さい頃、テレビのW杯みてお前がキャーキャー楽しそうに騒ぐから、俺がサッカー始めてやったんだろうが」

「・・・・・まったく意味が理解できないんですけど」

「お前が言ったんだぜ?」

「なにを?」















『亮がこの試合に出られたら、私が一番に応援にいくね!』















そ、そんな恥ずかしすぎることを・・・!そう言われればそんなこと言った気もしないでもない。

つまり・・・それは・・・わたしのためにサッカーはじめてくれたってこと?



「で、返事は?」

「返事?」



亮の顔がポカーンとなった。え?なに?私なんか変なこと言った?



「お前にぶすぎるだろ!」

「なにが!?」

「お前のためにサッカー始めて、それがここまで続いてんだから普通わかんだろ!」

「だからなにがよ!」

「ったく!!」


亮は急に私の肩を掴んで、そのままむりやり口付けをした。

頭の中は真っ白。体は硬直。今なにをされたんですか?



「・・・・・・・・・・・こういうことですか」

「やっと気付いたか。アホ」

「なっ!アホじゃないわよ!」

「で、答えは?」



シーンとした雰囲気があたりを包む。

もしかしたら、最初からこうなることは決まってたのかもしれないね。



「よろしくお願いします」

「それでよし」



神さまが言ってたんだよ。付き合いなさいって。





これからもずっとよろしくね、亮――




























なんだか最近よく似たネタが続いてる気が・・・;;;

花月