大きな月の下











交わした約束は











今でもこの胸に











息づいている




















































































月夜の約束














































































ユースの帰り。

いつものように英士と結人と一緒にマックへ寄ってから、家路を辿る。

5月の爽やかな夜風が優しく吹いているのを感じながら、俺は少しだけ歩調を緩めてのんびりとした気分になっていた。

ふと、風に誘われ上を見ると満天の星空。思わず立ち止まり、見入ってしまった。

その中に一段と輝く星が見える。そして隣には大きな大きな満月。

黄金の色をしたその月を見て、俺の頭の中にあいつが浮かんだ。

忘れもしない、あいつの笑顔。あいつの声。あいつの・・・・涙。

夜風がまた吹いて、俺は視線を前に戻した。そして、進路を180度変えて来た道を戻っていく。

しばらくしたところにある公園に入り、緑色のベンチに腰掛けた。

また空を見上げる。月は相変わらずそこに存在していて、漆黒の闇に光を与えていた。

あいつ――の顔がまた蘇る。綺麗に微笑むあの姿が。

なぁ、。お前もどこかでこの月を見てるのか?だとしたら覚えているだろうか。

満月の夜にした、あの約束。

今でもずっと忘れない。特にこんな月夜は嫌でも思い出す。

泣きながら笑った、の姿と共に・・・。












































































俺とは中学1年の時から付き合っていた。それ以前から幼馴染で、結人と英士と4人でよく遊んでいたし、サッカーの試合にも顔を出していた。

それがいつしか幼馴染としてじゃなく、一人の女として見え初めて、中1の夏に俺から告白した。

すぐにOKの返事がもらえたときは一瞬夢かと思ったけど、現実だとわかるとめちゃくちゃ嬉しくて。強く抱きしめたことを覚えてる。

それから時は流れて、中3の冬。この日も選抜の帰り道だった。俺とは公園のベンチであったかい肉まんを頬張りながらくだらない話をしていつものように笑いあっていた。



「ねぇ、一馬」

「ん?」



急にの声が静かになる。目元もどこか寂しげだった。

俺はそんなの姿を不思議に思いながら、じっとのほうを見つめる。

月の光に照らされたの顔はひどく綺麗だった。



「どうしたんだよ、急にあらたまって」

「・・・・やっぱなんでもない!気にしないで!」



いつものように笑ってはそう言い、また肉まんを口に入れた。

変だとは思ったけど、それ以上に聞くことはなかった。今考えればそのとき聞き返していれば、もっと時間を大切にできたのに。俺はとことんバカだ。

気付きもしなかった。の言おうとしていたことなんて、想像もできなかった。

それから数日経って、から呼び出しの電話がかかってくる。普段はめったにそんなことなかった。それでも俺は珍しいな、くらいにしか感じてなかった。

言われたとおり、いつもの公園に足を運ぶ。

満月がを照らして、この前よりずっと綺麗に見える。まるでこの世のものとは思えないくらい、神秘的な絵だった。



「どうした?」

「・・・話が、あるの」



真剣な顔つきのを見て初めて、俺はただ事ではないことに気付き始める。

とりあえずベンチに腰掛けて、俺はが話し始めるのを待った。

なかなか言いにくいのか、は一点をじっと見つめながら小さなため息をついていた。

その横顔はとても寂しそうで、切なそうで。俺の胸を締め付けるには充分すぎるほどだった。



「あのね・・・」



の重い口がゆっくりと開く。は俺のほうを見ずに小さく言った。



「引っ越すことが・・決まったの・・・」



何を言われたのか良く理解できなくて、頭の中が真っ白になった。

引越し?つまり、俺の傍からいなくなるってことか?



「お父さんの転勤で・・・明日にはここを発たなきゃならないから・・」

・・・」

「言うのが遅くなって、悪かったと思ってる。でも・・・」



の目から雫が零れ落ちた。キラキラ光るその粒を、俺はだまって目で追った。



「言うのが、怖かった・・・っ!」



とめどなく流れるその雫を見て、俺はたまらずを抱きしめる。

強く、強く、もっと強く。どこか遠くへ行ってしまわぬように。

俺の胸の中で泣き続けるは、まるで小さな子どものようだった。



・・・離れてても俺たちはいつも繋がってる」

「一馬――」

「月が夜空に浮かんでる限り、俺たちは同じ空で繋がってるだろ?」

「うん・・・」

「約束する。俺は一生を思い続けることを・・・」

「私も、約束する・・・」



俺たちは優しい口づけを交わした。

のやわらかいクチビルは、涙の味がした。













































































時計を見て、ずいぶん時間が経っていることを知り俺はベンチから腰を持ち上げた。

なぁ、

あの約束今でも忘れてないよ。

ずっとずっと、好きでいるから――

















なんだこれ・・・(死)だんだん小説が駄文になっていきます・・・(泣)

花月