バレンタインデー
それは乙女にとって大切な一日
好きな男子に愛を捧げる
とってもとっても
スペシャルな
愛の一日
チョコレートはキスの味
2月14日。それは恋する乙女にとって最も重要な一日。
バレンタインデーとは、まさしく今日のこと。
もちろんこの私、も愛しい彼氏である真田一馬にチョコレートをあげようと朝4時起きでチョコレートと格闘していた。
そして・・・。
「できた!」
やっとできたチョコレートクッキー。全部ハートマークなのは私から一馬への愛のメッセージ。
一馬喜んでくれるかなぁ。なんだかちょっと不安になってきちゃった。
一馬とは小学校のときからの付き合いで、中学校のときに一馬から告白されて付き合い始めた。
真っ赤になって好きだって言ってくれた一馬。今まで一日だって忘れたことのない素敵な思い出。
高校も同じところに行って、なんとクラスまで一緒。これはもう運命だよね。
「早く渡して食べてもらいたいなぁ♪」
綺麗にラッピングされたチョコクッキーを握り締め、慎重にバックへ入れる。
こういうのは放課後に渡すのがベスト。私の場合、一緒に帰ってるから別れ際に渡そう。
でも一馬モテるからなぁ・・・私以外にたくさんチョコもらうんだろうなぁ。
気に入ってくれなかったらどうしよう・・・。
ううん!だめ!プラス思考、プラス思考!せっかく作ったんだもん、渡さなきゃ損だよね。
そんなこんなであっという間に昼休み。
みんなこの時間帯にチョコを渡すから、一馬のいる私のクラスは女子で賑わっていた。
「真田くん!これ、私が作ったチョコなんだけど!」
「ちょっと押さないでよ!私の方が断然おいしいから!」
「私のも受け取って、真田くん!」
『真田く〜んvvvvv』
はぁ・・・。この光景見たくない・・。
一馬と私の仲を知っているのはクラスの人たちだけ。だから他クラスの人は知らないからしょうがないんだろうけど、この状況は最悪。
「あ、ちょっとどこいくの?」
「屋上・・・軽く凹んだ」
「一緒に行く?」
「ううん、大丈夫。先生にはうまく言っといて」
「わかった。元気だしてね」
「うん、ありがとう」
こうなること、わかってたはずなのに。
なんでだろう。間近でみてしまうとすごく落ち込んでしまった。
今日は天気もいいから、屋上で気晴らしでもしますか。はぁ・・・。あ、またため息。今日何回目だろう。数えてないや。
「一馬ぁ・・・・」
「なんだ?」
「!?!?」
独り言をつぶやいたはずなのに、返事が帰ってきたことにびっくりして、私はすぐ立ち上がり後ろを振り返った。
そこに立っていたのは我が愛しき彼氏、真田一馬。その人だった。
「一馬!?なんでここにいるの!?チョコレート集団は!?」
「切り抜けてきた。ついでに次の授業キャンセルも準備済み」
「なんで・・・」
「愛しい彼女が落ち込んでるのに、放っておけるはずないだろ?」
一馬・・・。ちゃんと見ててくれてたんだね。ありがとう。
私はポケットの中にある今朝作ったばかりのチョコレートを渡した。ちょっと予定とはずれちゃったけど、こういう嬉しいハプニングもありだよね。
「受け取って・・・くれる?」
「当たり前だろ、」
包みを丁寧に開けて、パクっと一口ほお張る一馬。そこらへんがA型だね。
「味はどう?」
「ん?おいしいよ。でもさ、こういうのは自分で味わうのが一番だぜ」
「え?どういう・・・んん!」
後ろから抱きしめられて不意のキス。学校でキスするなんて初めて。しかも一馬からなんて、よっぽどのことじゃないとありえない。
「どうだった?自分で作ったチョコの味は?」
「まぁまぁ・・かな?」
「ははっ!謙虚だな、」
「一馬こそ、積極的だね」
「だって今日はバレンタインデーだろ?」
「それって理由になるの?」
「さぁ、どうだろうな」
二人で微笑みあい、またキスをする。
その味はまさにチョコレート