愛してる








そんな言葉じゃ足りないくらい




























































+私の愛情+


































































「だから!なんでここが90度になんだよ!どう見ても直角じゃねぇだろうが!」

「じゃあ、いったい何度だっていうのよ!それくらい書いてあっても罰は当たらないでしょう!?」

「それじゃあ、テストになんねぇよ!」

ある晴れた日曜日。武蔵森サッカー部寮、三上亮の部屋では朝から元気な声が響き渡っていた。

普段なら日曜日とはいえ部活の練習があるのだが、今日はテスト3日前なので部活停止期間となっている。

他の部員たちは必死に勉強するのであろうが、三上の場合、テスト前にパラパラと教科書を眺めるだけでだいたいの問題は解けてしまうので特に勉強する必要はなかった。

さぁ、たまの休日、ゆっくり過ごそうか。と心に決めるのだが…

この時期になると必ず三上の元を訪れる人物がいた。






「亮ぁ〜〜〜!!勉強教えて〜〜!!」








朝早くから大量の教科書を抱えて押しかけてきた人物。

三上が愛してやまない彼女であるは、学校でも美男美女カップルの片割れとして人気を集めている。

美人で性格も良いだったが、彼女には唯一にして最大の弱点があった。











勉強ができない














定期テストで常に10番以内をキープしている三上とは違い、は毎回2桁スレスレをさまよっている状態だった。

頭の良い彼氏。勉強のできない彼女。

必然的にテストが近づくと、勉強会が開かれるのだった。

「じゃあ、これ。これくらいなら解けんだろ」

三上が指差したのは、テストの一番初めにあるような計算問題。

普通なら10秒もあれば解ける問題なのだが、はシャーペンを持ったまま固まってしまった。

「……わかんない;」

「…………」

連日の夜更かしでいくら眠かろうと(←パソコンのやりすぎ)

必死に問題と戦っている愛しき彼女の横顔にいくら欲情しようと(←お年頃v)

精一杯堪えて、三上は丁寧に問題を教えていく。

それも全ては愛するのため。

「で、こっちにxを移行して」

「あぁ!分かった!!ありがと、亮!」

すっきりした顔で三上に笑顔をむける

あまりの可愛さに三上は今すぐに押し倒したい衝動に駈られた。(笑)

「亮、これは?」

「あ?これは、まず累乗を先に計算すんだよ」

「ルイジョウ?」

の頭上にいくつものハテナマークが浮かび上がる。

お前、これ中1で習うことだぞ?という思いを胸に、三上はペンを走らせた。

「2の2乗とか、3の3乗とかいうやつ。やったことあんだろ?」

「あー…なんとなく、思い出したかも?」

「よし。じゃあ、2の3乗はいくつだ」

「うーんと、えーっと…・6!!!!!」

「言うと思った;;」

あからさまに呆れた顔をする三上に、は少しむくれる。そんなの機嫌を直すかのように頭をポンと叩いて三上は授業を再開した。

「2の3乗=2×2×2。つまり、答えは8になる」

「なーるほど。2を3回かけろってことか」

「そ。」

ふーんとはシャーペンを額に当てる。しばらくしては、ひらめいたかのようにノートをちぎってスラスラとなにかを書き始めた。

最初は黙って見ていた三上だったが、だんだんと気になってきてそっとノートを覗きこむ。

「見ちゃダメ!!」

は紙を胸のところに閉じ込めてぎゅっと握った。

「いいじゃねぇか。何書いたんだよ」

「内緒v」

少し照れながら笑うに、再びベッドへご招待したくなった三上。やっぱり愛してるんだなぁと実感した。





















































日がだんだんと傾いてきたので、今日の勉強会もお開き。三上はを家まで送っていく。

西日が射す中、手を繋ぎながらあるく帰り道。がらにもなく、幸せだとか思ってしまった。

しばらくしての家につくと、はなんだか恥ずかしそうに下をむいた。

「亮。今日はありがとね」

「どーいたしまして」

柔らかく笑う三上。こんな風に笑うようになったのは、と出会ってからだったなとしみじみ思う。

ふと、三上の唇に柔らかいものがあたった。

いつもは自分からの愛情表現なのに。触れるだけのキスもの精一杯の『愛してる』だった。

「やけに積極的だな。

「お、お礼だもん///」

長い髪をなびかせて、三上に背を向ける。それが照れ隠しだなんて、三上にはお見通しだったが。

少し俯きながら、は1枚の紙を三上に手渡した。

「なんだ?」

紙を日に透かしながら聞く。

すると、小さな声で「キスの理由//」と返ってきた。

そのままは、三上に別れを告げて家の中に入っていった。



























































寮に戻ってから紙を開けると不思議な文字が書かれていた。

「なんだよコレ?」

『私』と書かれた漢字の右上に小さく『I』がある記号のような文字。

「……累乗?」

どことなくさっき解いた数式に似ている。

「私…私の………くっ!!あははははははは!!!!」

しばらく考えたあと、三上はお腹を抱えて笑い転げた。
































『私のI乗』































『私の愛情』



























それは、数学が苦手ななりの













可愛い可愛い恩返し――







その後、三上の部屋に呼ばれたが散々お礼をさせられたのは








また別のお話。








〜おまけ〜

渋沢「三上、今日もちゃんに勉強教えたのか?」

三上「まぁな」

渋沢「よく襲わなかったな。絶対勉強なんてしないと思ってたよ」(キャプスマ)

三上「う゛…」←その後を襲った人

渋沢「三上も成長したんだな」(爽)

三上「どういう意味だよ!」


fin




ずいぶん昔にはやったネタです。

ギャグを目指したのですが。。。まったく面白くありませんね。

花月